こんにちは、TOEIC満点講師の上田哲也です。
現在多くの企業がTOEICで英語力を評価するなか、転職などのシーンで「どうしてもすぐにTOEICのスコアが必要」な方はたくさんいらっしゃいます。
今回はそんな短期間でTOEICでスコアを取らなければいけない方に向けて、「1ヶ月でTOEIC800点を達成できるのか」というテーマでお話していきます。
短期間でTOEIC800点を達成するために必ずやってほしい具体的な勉強方法を5つ、また実際にどのようなスケジュールで進めていくかについて解説します。
1ヶ月の短期集中でTOEICのスコアを最大限上げるためのコツについてもご紹介するので、短期間でTOEIC800を確実に取りたい方はぜひ読んでみてください。
この記事を書いた人
上田 哲也
バンクーバー留学、鉄鋼商社勤務を経て、現在は英語講師として企業研修などを担当。著書に『時短省力 私の英語勉強法』がある。TOEIC990点 / 英検1級 / IELTS8.0 / 国連英検特A級
この記事を監修した人
セレン
留学経験、海外経験ゼロから31歳で英語学習を独学で開始しTOEIC LR満点、TOEICスピーキング満点、英検1級を取得。日本最大手IT企業にてTOEIC研修＆英語学習カウンセリングを6年間担当。英語事業コンサルティング、高校生英語指導も行う。「英語のあたらしい読みかた」著者。
1ヶ月でTOEIC800点は目指せるの？
まず結論からお伝えすると、1ヶ月でTOEIC800点を達成することは可能です。
ただこれだけの短期間でTOEIC800点を目指すには、3つの条件があります。
- すでに700点以上のスコアを持っている
- 毎日2時間以上の学習をすることができる
- TOEICに特化した最適な学習をする環境が整っている
もしかしたら、少し厳しいなと感じられるかもしれません。ですが、特に下2つのポイントについては、これからの努力で十分に確保することができます。その具体的なやり方については、ここから丁寧に解説していきます。
参考：TOEIC800点ってすごいの？レベル・難易度、必要な勉強時間を解説
そもそも1ヶ月で何点上げるのが目安目標なの？
1日の学習時間にもよりますが、1ヶ月で現実的に上げられるスコアは20〜100点ほどが目安です。
こちらのOxfordのデータによると、TOEICのスコアを100点アップさせるために、おおよそ225〜275時間の学習が必要であることがわかります（950点以上を目指す場合は、さらに多くの学習時間が必要です）。
ですので、学習時間と点数の伸び幅には、ざっくり次のような相関関係があることがわかります。
- 1日2時間の学習（1ヶ月で60時間）で20〜30点アップ
- 1日4時間の学習（1ヶ月で120時間）で50点アップ
- 1日8時間の学習（1ヶ月で240時間）で100点アップ
一般的な社会人の方の場合、上記の学習時間の中であれば、1日2時間の学習時間が現実的かと思います。その場合、1ヶ月で800点に到達するには、すでに700点後半のスコアがあることが望ましいです。
もしご家族のサポートなどがあり、1日4時間の学習時間を確保できるのであれば、750点から800点までスコアアップすることも十分に現実的です。
現在転職活動中などで、丸々1日英語学習に時間を使える環境でしたら、1日8時間の学習で100点アップを目指すことも十分射程圏内に入ってきます。
しかしこのデータはあくまで目安であり、これまでTOEIC対策をしてきたかどうかや学習効率によっても、スコアアップに必要な時間は大きく変わってきます。
ですので、これまで本格的にTOEIC対策をしてきておらず、これから先の1ヶ月間でTOEIC対策に最適化されたトレーニングで学習に臨むことができれば、より速いペースでの目標達成も可能になるはずです。
1ヶ月でTOEIC800点まで引き上げる勉強法
ここからは、1ヶ月で確実にTOEIC800を達成するための勉強法について、具体的に解説していきます。基本的にはこれらをバランスよく進めていくことになりますが、具体的なスケジュール感については後ほど詳しく解説します。
もし仮に現在のスコアから1ヶ月でTOEIC800点が少し遠いとしても、基本的にはこのアプローチで限りなく800点に近づけることができるはずです。
1. 『公式問題集』で実践力を強化
公式TOEIC Listening & Reading 問題集 9
まずは王道の『公式問題集』です。TOEICの本番に最も近いリアルな問題が掲載されている、TOEIC受験者であれば必ず持っておきたいテキストです。
既にお持ちの方や、もう取り組んでいる方もいるかと思いますが、この1ヶ月間で改めてやり込んでいきましょう。
できれば直近の2冊（合計4回分の模試）を手元にそろえていただき、毎週1セットずつ、4週間で4セットは確実に回しておきたいところです。
基本の手順は次のとおりです。
Step1. 時間を測って解く
↓
Step2. リスニングは聞き直しOK、リーディングは時間無制限で解く
↓
Step3. スクリプトや辞書などを参照して解く
まずは時間内に問題を解いて、現在の実力をチェックしましょう。
次に時間無制限で解き進めていきます。リスニングは繰り返し音声を聞き、リーディングはじっくり時間をかけて丁寧に取り組んでいきましょう。その過程で間違えた問題は全て復習し、わからない単語も全て潰しておいてください。
TOEIC800点を目指すのであれば、本番でも8割以上の問題を正解する必要があります。
ですので、スクリプトや辞書を参照すればすべての問題に自信を持って回答できるようにし、試験当日では8割以上の問題を正解できるように準備しておきたいところです。
2. 『金のフレーズ』で語彙力を強化
TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)
次に語彙力アップには、『出る単特急 金のフレーズ』を使用します。こちらもTOEIC受験者であれば誰でも知っている、王道の単語帳です。
TOEIC800点を確実に狙うためにも、「860点レベル 飛躍の200語」でわからないものが無いようにしておきましょう。もちろん「600点レベル」「730点レベル」も全てチェックしておきます。
すでに知っている単語もあるかと思いますので、まずは知らない単語に全てチェックをつけます。
ここでは仮に、600点レベルの10%、730点レベルの40%、860点レベルの80%の単語が知らない単語だったとしましょう。
- 600点レベル (400語) → 10%知らない → 40語にチェック
- 730点レベル (300語) → 40%知らない → 120語にチェック
- 860点レベル (200語) → 80%知らない → 160語にチェック
もし知らない単語の割合がこのような感じであれば、学習すべき単語数は320単語になります。これなら、1ヶ月で十分に覚えられそうですね。
最初は、単語帳を丁寧に回していきます。関連語彙、例文、語源、画像などを調べて、単語帳にメモを書き込んで、とにかく頭に刷り込んでいきます。そうやって下準備ができれば、次回以降の復習がグッと楽になります。
ここから、単語を復習していきます。1単語10〜20秒程度で復習することを目安にしましょう。1単語10秒程度であれば50分、20秒かければ100分程度の学習時間で金フレを1周できるはずです。
これくらいのペースで大体2〜4周/週のペースで学習できれば、1ヶ月で確実に全て覚えることができます。
3. 『でる1000問』で文法力を強化
TOEIC800を目指すレベルであれば、『文法問題 でる1000問』を活用していきましょう。
個人的にもいろいろなTOEICの問題集に取り組んできましたが、この『文法問題 でる1000問』は問題の難易度が本番にとても近く、またとても使いやすいレイアウトなのでおすすめです。
既に7〜8割程度の高い確率で正解できるようであれば、「トレーニング」「実践問題」を1問あたり20〜30秒で解いて、間違えたところだけ復習していきましょう。もし、まだわからない問題が多い場合は「トレーニング」の問題だけでも確実に解けるようにしておくことをおすすめします。
アナログではありますが、個人的には一度通しで解いて間違えたところに付箋を貼り、2週目以降は付箋がついているところだけをグルグルと回していました。
100%正解できるまで仕上げるのは難しいかもしれませんが、90%は自信を持って回答できるようにしておきたいところです。
4. シャドーイングでリスニング力を強化
すでに復習をした、公式問題集（特にPart3とPart4）を使用してシャドーイングをしていきます。
シャドーイングは、数あるリスニングトレーニングの中でも特に負荷が高い分、効果も高いもので、短期間でリスニング力をアップするためにおすすめの学習法です。
スクリプトを見ながらで大丈夫ですので、全て意味をクリアに理解した上で、お手本の音声にしっかりついていけるクオリティまで仕上げてください。
私自身がTOEIC800を目指していた頃は、TOEIC公式問題集のPart3とPart4のスクリプトを縮小コピーして持ち歩いて、外出中は声に出さず口パクでずっとシャドーイングをしていました。
このようにPart3とPart4を仕上げておくと、短文のPart1とPart2の正答率も同時に上げることができます。
トレーニングを重ねて、結果的にすべてのリスニングパートを覚えてしまうくらいにやり込むことができたら、もうリスニングで困ることはなくなるはずです。
5. 精読でリーディングを強化
Part7の問題を使用して精読をしていきます。Part5や6を使っても良いのですが、インプットを最大化する意味ではPart7を優先的にやった方が良いでしょう。
（Part5やPart6などの空欄補充の問題については『でる1000』で徹底的に演習をするので、そこで対応できるようにしておきます。）
基本的には公式問題集2冊分の復習をする形で学習を進めます。しかし、もし特に対策をしたいタイプの問題がある場合は、朝日出版社の「特急シリーズ」を使って局所的に対策するのもありです。
個人的には「ダブルパッセージ（Part7で複数の文書が出てくる問題）」が苦手だったので、複数パッセージに特化した「ダブルパッセージ編」に取り組んでいました。
1ヶ月でTOEIC800点を目指す場合、どうスケジュールを組み立てるべき？
ここからは、1ヶ月という短期間でTOEIC800点を達成するために必要な学習スケジュールを、一般的な「会社勤めの社会人」の方を想定して考えていきます。
まず何よりも最初に、書店やAmazonなどで必要なテキストを揃えるところからスタートです。先ほどご紹介したこれらのテキストを購入することをおすすめします。
そして次に、1週間のおすすめのスケジュールを、平日と週末に分けて考えていきます。社会人の学習スケジュールの例として参考にしてみてください。
- 平日の学習時間：2.5〜3時間
- 週末の学習時間：4〜6時間
- 1ヶ月の学習時間：82〜108時間
平日の学習（2.5〜3時間）
移動時間（徒歩）
歩いているときは、音源を聴きながらシャドーイング（小声か頭の中で）をします。
このとき、公式問題集のスクリプトをコピーして持ち歩くなどし、必要があれば英文を確認できるようにしておきましょう。
駅と自宅の往復、駅と会社の往復で30〜60分/日程度の学習時間を確保します。
移動時間（電車）
通勤電車に乗っている時間は、「金のフレーズ」を使った単語学習に充てます。
すでに英単語を覚える下準備として、たくさんの手書きのメモが書き込まれているので、1単語あたり10〜30秒程度でサクサクと復習できるはずです。
例えば移動時間が片道30分の方でしたら、往復で60分/日の勉強時間を確保できるので、しっかり活用していきましょう。
始業前
平日は少しだけ早く家を出て、会社の近くのカフェや始業前のオフィスで1時間ほど勉強をします。
最初は「でる1000問」を30分ほど解きます。そして後半は週末に解いた「公式問題集」の復習として、リスニングのスクリプトの精読、リーディングセクションの精読を30分ほどおこないましょう。
週末の学習（4〜6時間）
休日の朝イチ、一番集中力があるときに、TOEIC公式問題集で1セット分の模試を2時間測って解きます（模試に集中できるように、ご家族と同居している場合はしっかり事前に模試を解くことを伝えておきましょう！）。
午後になったら、その日の朝に解いた公式問題集を時間無制限で解き直していきます。
その日の予定にもよるかと思いますが、2〜4時間くらいかけてじっくり解き進めましょう。
1ヶ月短期集中で、できる限りスコアアップするコツ
さて、やるべき勉強方法が明確になったところで、ここからは短期集中でスコアアップするためのコツについてお話ししていきます。
1ヶ月の学習スケジュールを明確にする
1ヶ月でTOEIC800を取るためには、最短距離で学習をする必要があります。そのため、遠回りをしたり、よそ見をしているヒマはありません。
まずは1ヶ月間でどのテキストをどれくらいの時間やるかなど、やることを明確に決めましょう。そして1ヶ月間は、脇目も振らず、ただひたすらに決めたことを実行してください。
TOEICの勉強をしていると、いろいろな誘惑があります。新しいテキストをやった方がいいんじゃないかとか、今のやり方では結果が出ないのではないかとか、いろいろなことを考えてしまうものです。
英語学習における質はとても大事です。ですが、それと同じくらいに大事なのが量です。
忙しい社会人が日々の生活の中で量を確保するためには、よそ見をしているヒマなんて無いのです。
この記事に書いてある内容で一ヶ月やると腹を括って、ぜひ最後までやり抜いてください。きっと結果はついてくるはずです。
学習仲間を見つける
英語学習は一緒にやる仲間も大切です。私自身、英語を勉強し始めた頃、英語力ゼロの状態から一年もたたずにTOEIC800点以上を取れたのは、一緒に勉強を頑張る仲間がいたからでした。
まず、仲間がいると「自分にもできる」と信じることができます。周りに誰もいない中、一人で頑張っていると「どうせ自分には無理だ」と思ってしまうものです。
ですが、仲間が自分と同じように頑張っていて、先に結果を出しているのを目の当たりにすると「彼らにできたなら自分にもできる」と思えるようになるのです。
また人間は、周りの環境に順応しようとする性質があります。これは英語学習にも言えることで、周りが英語を学んでいると、自分もグループに馴染みたいという本能が働いて、自然と英語を勉強することができるようになるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では1ヶ月という短期間でTOEIC800点を達成するために必要な具体的な勉強方法やオススメの教材などについてご紹介してきました。
1ヶ月という短期間でTOEIC800点を達成するためには、すでに700点以上のスコアがあること、またこれからの1ヶ月間でTOEICのスコアアップに目的を絞った効果的な学習をすることが望ましいです。
もしかしたら、全て一気に取り入れるのは難しいかもしれません。ですが、できることから一つずつ取り組んでいくことで、着実に目標に近づけるはずです。
ぜひ今回の記事を参考に、具体的な英語学習のスケジュールを立ててみてください。
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