日本で英語力を証明できる資格として抜群の認知度を持つTOEIC。
同じく認知度の高い英検と違って級の設定がなく、合否判定もないTOEICは
「どのくらいのスコアを目指せばいいんだろう?」
「今の自分のスコアってどれくらいのレベルなの?」
と疑問に思っている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回はスコア目標の指標の一つとなるTOEICの平均点について詳しく解説します。平均点がわかれば、今の自分の英語力が客観的に判断できますし、今後のスコア目標も立てやすくなるはずです。
全体の平均点だけでなく、属性別のスコアや社会人や大学生が求められるスコアについても解説するので、目標スコアを決める時の参考にしてみてください。
この記事を書いた人
阿武 夏織
TOEIC930点、英検1級取得。外資系企業、日系企業での海外営業勤務を経たのち渡米し、アトランタでNBAダンサーとして活動。ライターとしてさまざまな英語学習サイトで学習方法に関する記事をはじめ、海外文化・海外旅行についての記事などを執筆中。
この記事を監修した人
セレン
留学経験、海外経験ゼロから31歳で英語学習を独学で開始しTOEIC LR満点、TOEICスピーキング満点、英検1級を取得。日本最大手IT企業にてTOEIC研修&英語学習カウンセリングを6年間担当。英語事業コンサルティング、高校生英語指導も行う。「英語のあたらしい読みかた」著者。
TOEICの平均点は580点前後!
まずは、TOEIC全受験者の平均点について見ていきましょう。
TOEICはリスニング・リーディングで構成されるL&Rテストと、スピーキングとライティングで構成されるS&Wテストがありますが、今回は多くの学校や企業が英語力の指標としているL&Rテストに絞って解説していきます。
TOEICの配点は、リスニング、リーディング合わせて下記です。
満点:990点
— リスニング:5〜495点
— リーディング:5〜495点
TOEICを実施している国際ビジネスコミュニケーション協会が公表しているデータによると、2019年度にTOEIC公開テストを受けた全受験者の平均点は588点でした。リスニング・リーディング別に見てみると、リスニングの平均点が323点、リーディングは265点です。
年度別に見ると、2017年度が582点、2018年度が580点となっていて、例年580点前後が平均点となっています。
ちなみに、2021年に公開されたデータでは、2020年度の平均スコアが620点と例年を大きく上回っていますが、この年は新型コロナウィルスの影響でTOEICの受験者数が大きく減りました。申し込み方法も定員制や抽選制が取られたため、学習意欲の高い受験者が増えたことが平均点アップに影響したと考えられます。
TOEICの国別の平均点
TOEICは世界160カ国で実施されていますが、日本の平均点は世界から見るとどのくらいに位置しているのでしょうか。
国際ビジネスコミュニケーション協会は、500人以上がTOEICを受験している国の国別平均スコアも公開しています。
2019年度の国別平均点で、上位だった10カ国とそれぞれのスコアは以下のとおりです。
カナダ | 877 |
ドイツ | 812 |
レバノン | 782 |
ベルギー | 772 |
イタリア | 763 |
ポルトガル | 736 |
フランス | 733 |
チュニジア | 733 |
アルゼンチン | 727 |
ロシア | 726 |
英語圏であるカナダがトップですが、それ以外はヨーロッパと中東の国が占めています。アジア圏でトップだったのはフィリピンの713点で、日本は43位でした。
TOEICのスコア分布
2019年度のTOEIC公開テストは、830,954人が受験しました。スコア別の人数と割合は以下のとおりです。
スコア | 人数 | 割合 |
---|---|---|
895〜 | 29,947 | 3.6% |
845〜 | 34,625 | 4.2% |
795〜 | 48,430 | 5.8% |
754〜 | 59,062 | 7.1% |
695〜 | 68,613 | 8.3% |
645〜 | 78,039 | 9.4% |
595〜 | 84,330 | 10.1% |
545〜 | 86,560 | 10.4% |
495〜 | 83,042 | 10.0% |
445〜 | 75,508 | 9.1% |
395〜 | 65,191 | 7.8% |
345〜 | 51,892 | 6.2% |
295〜 | 35,434 | 4.3% |
245〜 | 19,658 | 2.4% |
195〜 | 8,461 | 1.0% |
145〜 | 1,738 | 0.2% |
95〜 | 188 | 0.02% |
45〜 | 83 | 0.01% |
10〜 | 153 | 0.02% |
最も多いのは545〜590点で10.4%、次いで595〜640点、495〜540点の順に多くなっています。
平均点を上回る595点以上を取得した人は全体で48.5%、695点以上を取得した人は29%、795点以上を取得した人は13.6%です。
645点以上から分布の割合は少しずつ減っていくので、650点以上が一つの壁だと言えるでしょう。
TOEIC®テストの点数の算出方法
TOEICスコアの算出には特殊な方法が採用されていて、各問題の配点は非公表になっています。
また、毎回試験終了後に受験者の正答率などを踏まえて、配点が決められるため、事前に1問何点と決まっているわけではありません。
この算出方法が用いられているのは、各回ごとに試験の難易度が変わらないようにするためです。正確な配点はわかりませんが、全受験者の正答率の低い問題は配点が高く、正答率の高い問題は配点が低くなる傾向があると言われています。
TOEICは990点満点でリスニング100問、リーディング100問が出題されますが、200問全てを正解しなければ990点が取れないというわけではありません。
受験する回にもよりますが、数問間違えても990点が取れる可能性はあります。また、1問も正解できなかったとしても、10点は取れるようになっています。
属性別のTOEICの平均点
ここからは社会人・大学生・高校生の属性別の平均点を見ていきましょう。
自分の属性の平均点がわかれば、より明確なスコア目標が設定しやすくなります。
社会人のTOEIC平均点
2019年度にTOEICを受験した社会人の平均スコアはリスニングが335点、リーディングが277点です。合計スコアは612点と、全体の平均スコアを24点上回っています。
この背景には、
- 社会人になって業務で英語が必要になり学習されている人が多いこと
- 転職・キャリアアップで英語学習に取り組んでいる人が多いこと
が影響していそうです。
日本国内での年代別スコアは公開されていませんが、TOEICを開発しているETSがまとめた2019年度のデータによると、年代別のスコアは以下のとおりです。
年代 | リスニング | リーディング | 合計 |
---|---|---|---|
20代 | 354 | 293 | 646 |
30代 | 336 | 274 | 609 |
40代 | 332 | 274 | 606 |
50代 | 314 | 262 | 577 |
全世界の年代別平均スコアを見ると、20代が一番平均点が高く、年代が上がるにつれて、平均点が下がっています。
ちなみに日本で大学や企業が主催して行われるTOEIC IPテストの2019年度のデータでは、社歴別の平均スコアが公開されています。
社歴 | リスニング | リーディング | 合計 |
---|---|---|---|
新入社員 | 272 | 219 | 491 |
入社2〜5年目 | 283 | 228 | 511 |
入社6〜10年目 | 282 | 226 | 508 |
入社11年目以上 | 263 | 206 | 469 |
中途入社のケースもあるので一概には言えませんが、一般的に20代が多い入社2〜5年目が一番平均点が高く、社歴が長くなるに従って平均点は下がっています。
大学生のTOEIC平均点
次に大学生のTOEIC平均点を見ていきましょう。
2019年度のTOEIC公開テストの結果によると、大学生の平均点はリスニングが313点、リーディングが254点で、合計は567点でした。これは、全体の平均点を21点下回っています。
ちなみに大学が実施するTOEIC IPテストの平均点は、リスニングが256点、リーディングが199点、合計が455点で、公開テストよりも低い平均点でした。
学年別や主要大学別の平均点も見ていきましょう。
学年別:1年、2年、3年、4年
学年 | リスニング | リーディング | 合計 |
---|---|---|---|
大学1年 | 244 | 194 | 438 |
大学2年 | 257 | 195 | 452 |
大学3年 | 278 | 212 | 490 |
大学4年 | 292 | 228 | 520 |
大学1・2年生はまだ平均点が低いものの、就活を行う3・4年生になると平均点が上がっています。特に4年生になると平均点が500点を超えていますから、就職を見据えてTOEIC学習に力を入れる人が増えていることがわかります。
高校のTOEIC平均点
一部の大学ではAO入試を中心に、TOEICを入試で活用しています。そのため、高校生でTOEICを受験する学生も増えてきました。
2019年度に実施されたIPテストを受験した高校生は22,144人で、全体の平均点はリスニングが243点、リーディングが168点、合計が411点でした。
学年別の平均点は以下のとおりです。
学年 | リスニング | リーディング | 合計 |
---|---|---|---|
高校1年生 | 223 | 145 | 368 |
高校2年生 | 243 | 163 | 406 |
高校3年生 | 246 | 173 | 419 |
どの学年も高いスコアとは言えないものの、学年が上がるにつれて、平均点も上がっています。大学生と比較すると、リーディングはスコアが大きく下がるものの、リスニングのスコアは大きな違いがありません。
求められるTOEICのスコア
TOEICの平均点はスコア目標を決める指標にはなりますが、就活や転職、昇進で英語力を示すには、平均点以上のスコアが求められます。
社会人と大学生は、どれくらいのスコアを求められるのでしょうか。
社会人でもっておきたいTOEICスコア
社会人の平均点は612点なので、600点台の場合は平均的な英語力とみなされてしまいます。そのため、社会人が英語力があることをアピールして転職や昇進を目指すなら、最低でも700点を取得しておくのがベターです。
グローバルに事業を展開している大手企業などは、平均点を大きく上回るスコアを求めています。
企業 | 求められるスコア |
---|---|
ファーストリテイリング(ユニクロ) | 700 |
楽天グループ | 800 |
ソフトバンク | 730 |
NTT東日本 | 700 |
三菱自動車 | 700 |
部署や職種によっても求められるスコアが異なるので一概には言えませんが、700点以上のスコア取得を目指してみましょう。
大学生でもっておきたいTOEICスコア
大学生のTOEIC公開テストの平均点は567点ですが、TOEICの公式サイトによると、企業が新入社員に期待するスコアは535点となっています。
大学生が就活でTOEICを活かすなら、まずは平均点を目指すといいでしょう。
ただし、これは英語を頻繁に使用しない企業も含まれているスコアなので、英語を使って仕事で活躍したいなら、新卒でもこれ以上のスコアが求められます。
特に海外部門で活躍することを目標としているのであれば、大学生であっても700点以上の取得を目指してみましょう。
まとめ
本記事ではTOEICの平均点についてご紹介しました。平均点についてまとめると下記です。
・全体平均点:例年580点前後(最も分布が多いのは545〜590点で全体の10.4%)
・社会人の平均点:612点
・大学生の平均点:567点
・高校生の平均点:411点
全受験者が同じ内容のテストを受けるTOEICは、平均点が一つの指標になります。これからTOEICを受験する予定なら、属性別の平均点も参考にしながら、目標スコアを決めてみましょう。
社会人でも大学生でも、英語力をアピールしたいのであれば、平均点以上の取得を最終目標にすることをおすすめします。
企業が求めるTOEICスコアを参考にして、学習に取り組んでみてください。