TOEIC本番を間近に控えている方のなかには、今の成果をできるだけスコアに反映させるために、最後の追い込みに力を入れている方が多いのではないでしょうか。
「ちょっとでも点数をアップさせるにはどんな勉強をすればいいんだろう」
と悩んでいる人もいるでしょう。
そこで今回は、TOEICの本番1週間前から前日までに行いたい直前対策のポイントを紹介します。TOEIC直前といっても、学校や仕事はいつも通りあるでしょうから、ポイントを押さえて効率よく勉強することが大切です。
勉強方法だけでなくコンディションの整え方も紹介しますので、TOEICを直前に控えている方は、参考にしながら1週間の学習プランを立ててみましょう。また、併せて当日にできる直前対策も紹介します。
この記事を書いた人
阿武 夏織
TOEIC930点、英検1級取得。外資系企業、日系企業での海外営業勤務を経たのち渡米し、アトランタでNBAダンサーとして活動。ライターとしてさまざまな英語学習サイトで学習方法に関する記事をはじめ、海外文化・海外旅行についての記事などを執筆中。
この記事を監修した人
セレン
留学経験、海外経験ゼロから31歳で英語学習を独学で開始しTOEIC LR満点、TOEICスピーキング満点、英検1級を取得。日本最大手IT企業にてTOEIC研修&英語学習カウンセリングを6年間担当。英語事業コンサルティング、高校生英語指導も行う。「英語のあたらしい読みかた」著者。
【試験1週間前】TOEICスコアアップのためにやるべき直前対策のポイント
ではさっそく本番の1週間前にしたい、TOEICスコアアップのための直前対策ポイントを紹介します。
気持ちが焦り始める頃かもしれませんが、今できることを着実に行ってスコアアップを目指しましょう。
これまでやった参考書・問題集の復習をする
TOEIC本番1週間前になったら、「これまでやってきたことの復習」を重点的に行いましょう。
「ちょっとでもスコアアップしたい!」と思っている人ほど、「まだ学べていないことがあるのでは?」と新しい参考書や問題集に手を出したくなってしまうかもしれません。
ただ、勉強したことを記憶に定着させるためには反復学習が必要ですから、1週間前に新しいことを勉強しても中途半端になりがちです。
すでに学習した参考書・問題集を使って問題を解いたり、間違ってしまった/まだ理解できていない問題・曖昧になっている単語などを復習したりしましょう。
なかには「やったのに覚えていない」という問題もあるはずです。ただ、すでに学んだ内容ですから、復習することで記憶に定着しやすくなります。
本番と同じように模試を解く
TOEIC本番1週間前に必ずしておきたい直前対策が、「模試を本番環境で解くこと」です。
TOEICは2時間の試験で、最初の約45分間でリスニング100問、残りの75分間でリーディング100問の計200問が出題されます。途中に休憩はない長い試験なので、集中力を維持しなければいけません。
そこで、本番1週間前になったら本番同様の時間で、模試についているマークシートを使いながら問題を解いてみましょう。2時間集中して模試をすることで、問題集でたくさん問題を解くだけでは養えない集中力が鍛えられます。
マークシートの記入に慣れておけば、本番でのミスを防ぐこともできるはずです。また、リスニングセクションは、スピーカーを使って音声を流して、イヤフォンで聞こえる音声との違いにも慣れておきましょう。
私は模試を解くときに、答えを迷ってしまった問題にチェックをつけるようにしていました。チェックをつけておけば、見直す時に自信のない問題・理解しきれていない問題が一目でわかります。また、各パートに何分程度かかったかをメモしておくと、次に紹介する時間配分を考えるのに役立ちます。
リーディングの時間配分を決める
本番を想定した模試で「時間内にすべての問題が解けなかった」という人もいるはずです。
TOEICのリスニングセクションは音声に合わせて進んでいきますが、リーディングセクションの75分間は、自分で時間配分を行わなければなりません。
時間配分を考えるために、リーディングセクションのパートごとの問題数と、単純計算で1問にかけられる時間、パート全体にかけられる時間を見てみましょう。
問題数 | 1問あたりの解答時間 | パート全体にかける時間 | |
---|---|---|---|
Part 5 | 短文穴埋め問題 30問 | 20秒 | 10分 |
Part 6 | 長文穴埋め問題 16問 | 30秒 | 8分 |
Part 7 | 1つの文書:29問 複数の文書:25問 | 1分 | 54分 |
あくまで目安ですが、上記の解答時間で解くと計72分となり、3分ほど余裕を持ってすべての問題を解けます。模試で各パートにかかった時間を踏まえて、時間をかけすぎているパートがないかチェックしてみましょう。
時間をかけすぎているパートがあれば、わからない問題を捨てる勇気も必要です。時間配分を決めたら、パートごとでもいいので、連続で解いて解答にかけられる時間を体感しておきましょう。
英語に耳を慣らしておく
TOEIC本番ではリスニング問題をスムーズに解けるように、1週間前から耳を英語に慣らしておきます。
通学・通勤時間やお風呂の時間を使って、前日まで繰り返しTOEIC参考書や問題集、模試についているリスニング音声を聞きましょう。特に公式問題集は本番と同じ人がナレーションをしているため、耳慣らしには最適です。
少しずつ耳を慣らすために、まず0.8倍速程度でスタートして理解度を高めましょう。慣れてきたら通常速度に上げ、問題なく聞き取れるのであれば、本番直前までに1.2倍速程度までスピードアップしてみるのもおすすめです。
通常よりも少し早い速度の音声に慣れておけば、本番に聞くリスニング音声がかなりゆっくり感じられます。
【試験前日】TOEICスコアアップのためにやるべき直前対策のポイント
ここからはTOEIC本番前日にやるべき直前対策を紹介します。
試験を翌日に控え、緊張し始める方もいるかもしれません。コンディショニングのコツも紹介するので、参考にして万全の状態で当日を迎えられるようにしましょう。
覚えきれていない単語や何度も間違えた問題の復習する
これまで勉強してきて、覚えきれていない単語を見直したり、何度も間違えてしまった問題の復習をしましょう。
何度も繰り返し勉強した内容のはずですから、最後に復習しておくことで、記憶に定着しやすいです。特に最も苦手としているパートを中心に見直すことで「これだけ頑張ったんだから大丈夫」という自信にもつながります。
TOEIC本番前日は気持ちがさらに焦って新しいことを覚えたくなるかもしれません。しかし、前日の直前対策も新しいことに手を出すのはNGです。これまで頑張った自分を信じて、復習に集中してください。
時間配分と問題を解く順番を再確認する
直前1週間で時間配分を確認しましたが、前日にも改めて時間配分と問題を解く順番をチェックしておきましょう。
TOEICは時間との勝負ですから、どのパートにどれくらい時間をかけるか頭に入れておくことは大切です。当日の試験開始時間から計算して目安を「◯時◯分までにPart 5を終わらせる」と決めておくといいでしょう。
さまざまなTOEIC本やサイトで、問題を解くおすすめの順番がテクニックの一つとして紹介されていますが、自分がいいと思う順番で解くのが一番です。
「マークミスが不安」という人は順番通りに解いた方が安心ですし、「いつもPart 7の最後まで集中力が持たない」という人は後ろから始めても構いません。自分のベストの順番を決めておきましょう。
勉強しすぎない
「明日が本番!」と思うと、「最後に追い込みをしなければ」と思ってしまう人もいるでしょう。
ただ、2時間もあるTOEICの試験は体力も気力も使うので、前日に勉強しすぎて疲れてしまっては、本番で思うように力を発揮できなくなってしまいます。
不安を払拭したくて勉強する人もいるかもしれませんが、おそらく勉強すればするほど「まだできていないところがある」と不安になってしまうはずです。これまでの復習をすることは大切ですが、前日に夜遅くまで勉強したり、徹夜したりすることはおすすめしません。
持ち物と会場までのルートを確認する
前日は必ず持ち物と会場までのルートを確認しておきましょう。
当日に準備していた場合、足りないものがあると気持ちが焦ってしまいます。一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会が案内している必須の持ち物を確認し、すべてバッグに入れておきましょう。
また、当日自宅から会場までのルートと家を出る時間も決めておきます。公共交通機関は遅れが出る場合もあるので、余裕を持って家を出られるようにしておきましょう。万が一のことを考えて、代替ルートがあるかどうかも調べておくと安心です。
リラックスして十分な睡眠をとる
先ほどもお話ししたとおり、TOEIC当日はかなり体力と気力を使います。本番で集中力を維持するために、十分な睡眠をとるようにしてください。
ベストな睡眠時間は個人差がありますが、7〜8時間程度確保できるようにしておくといいでしょう。
「寝坊したらどうしよう」「まだ勉強できることがある気がする」と、なかなか寝付けない人もいるかもしれません。散歩をしたりお風呂にゆっくり入ったりするなど、自分なりのリラックス方法を実践すると、眠りに入りやすくなります。
【試験当日】TOEICスコアアップのためにやるべき直前対策のポイント
ここからは試験当日にやるべき直前対策のポイントを紹介します。
試験当日は、コンディショニングを重視して、万全の状態で試験を受けられるように心がけましょう。
1.2〜1.5倍速でリスニング音声を聞く
1週間前の対策でもおすすめしましたが、通常よりも少し速い速度でリスニング音声を聞くと、本番の音声がゆっくりに感じます。
会場まで向かう時間を使って、1.2〜1.5倍速でリスニング音声を聞きましょう。1.2〜1.5倍速では速すぎて聞き取りづらい場合は、通常速度でも構いません。
試験前に英語音声を聞いておくと、英語を聞く準備が整います。より効果的に対策するために、頭のなかで音声化しながら聞いてみましょう。
長文を少し速めに読む
これまでに使った参考書や問題集の長文を使い、読む速度を意識しながら通常よりも少し速めに読んでみるのもおすすめの直前対策です。
直前に長文を少し速い速度で読むと、頭のウォーミングアップになり、リーディング問題をスムーズに取り組めるようになります。
自宅で対策するのなら音読、声を出せないなら頭の中で発音を意識しながら本文を読んでみましょう。ただ、脳が疲れてしまうくらい読み込むと試験中の集中力が持たなくなるので、数回読む程度にしておくのがおすすめです。
あえて何もしない
試験当日、あえて何もしないことも直前対策になります。TOEICは2時間集中して問題を解かなければならないため、試験前にリラックスしておくことも大切です。
私はTOEICを受験するとき、前日までに復習を済ませ、当日は試験まで会場近くでのんびり過ごして、試験に挑んでいました。リラックスして受験したことで、期待以上のスコアを獲得できました。
直前に勉強して「まだ理解できていない問題がある」と焦ってしまうくらいなら、あえて何もせず、ゆったりとした気持ちでいることを意識してみてはいかがでしょうか。
時間に余裕を持って行動する
TOEICは午前試験と午後試験があります。午前試験の場合は、朝がかなり早くなる可能性もありますが、いつもより余裕を持って起きましょう。
午後試験の場合は、朝はゆっくり過ごせるはずです。とはいえ、いつもより遅く起きてしまうと頭がスッキリしないまま試験時間を迎えてしまうので、朝しっかり起きて、時間に余裕を持って行動するようにしてください。
TOEICは受付終了時間までに受付に到着していないと遅刻になり、受験できなくなってしまいます。
ギリギリに到着するのではなく、少し早めに移動して、会場周辺や会場で時間を過ごせるようにしておきましょう。ギリギリで行動してしまうと、気持ちが焦ったまま試験を受けなければならなくなります。
食事量とタイミングに注意する
基本的に午前試験でも午後試験でも、朝食を食べて脳にエネルギー補給させておくことをおすすめします。また、午後試験の場合は、試験前に昼食を食べておきましょう。
ただ、ご飯を食べすぎると眠くなってしまう人もいるかもしれません。個人差がありますので、自分のベストの量を考えて食事を摂りましょう。
たくさん食べると眠くなってしまうという人は、食事を軽く済ませて試験直前にチョコやプロテインバーなどのましょう。糖分には集中力をアップさせる効果があると言われているのでおすすめです。
まとめ
今回は、TOEIC本番1週間前・前日・当日にやるべき直前対策を紹介しました。
TOEIC本番まで1週間を切ったら、新しい参考書や問題集に手を出すことはおすすめしません。本番を想定して模試を解き、これまでに使った参考書や問題集で復習を重点的に行いましょう。
また、模試でかかった時間を踏まえて、時間配分を考えておくことも大切です。前日・当日は復習や脳のウォーミングアップをしつつ、リラックスして万全の状態で試験に臨めるように、コンディションを整えることを意識してください。
直前になると、気持ちに焦りが出てくる人も多いかもしれません。最後の1週間は頑張ってきた自分を信じ、今できることを着実にこなしながら、最後の総復習をしましょう。