こんにちは。TOEIC満点講師/Garibenコーチの上田哲也です。
TOEIC800点台の方が900点を突破するのは並大抵のことではありません。実際TOEIC学習者の方のなかには、800点を取ってから長い間、スコアが停滞してしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、しっかりポイントを押さえて学習することができれば、最短で900点に到達することは可能です。実際に私がコーチを務めるGaribenでは、およそ3ヶ月の学習期間で800点台から100点以上スコアUPして、900点を突破する方もいらっしゃいます。
この記事では、TOEIC800点とTOEIC900点の違い、またTOEIC900点を突破するために必要な学習時間、使うべき教材から具体的な戦略まで、詳しくお伝えしていきます。
現在TOEIC800点台で、これから900点を突破したいと考えている方は、是非この記事を最後まで読んでいってください。
この記事を書いた人
上田 哲也
バンクーバー留学、鉄鋼商社勤務を経て、現在は英語講師として企業研修などを担当。著書に『時短省力 私の英語勉強法』がある。TOEIC990点 / 英検1級 / IELTS8.0 / 国連英検特A級
この記事を監修した人
セレン
留学経験、海外経験ゼロから31歳で英語学習を独学で開始しTOEIC LR満点、TOEICスピーキング満点、英検1級を取得。日本最大手IT企業にてTOEIC研修&英語学習カウンセリングを6年間担当。英語事業コンサルティング、高校生英語指導も行う。「英語のあたらしい読みかた」著者。
TOEIC800点と900点の違い【英語力・レベル・評価】
最初に、TOEIC800点と900点の違いについて詳しく見ていきましょう。
800点台 | 900点台 | |
---|---|---|
英語力 ・ レベル | ・TOEIC受験者の約15% ・CEFR B2・英検準1級に相当 | ・TOEIC受験者の約4% ・CEFR B2〜C1・英検準1級〜1級に相当 |
評価 | ・英語上級者として見られる ・転職で有利になる ・海外と関わる仕事にチャレンジできる ・TOEIC800点台の平均年収は487万円 | ・就職活動で英語力が評価される ・海外と関わる部署に異動をさせてもらえる ・TOEIC900点以上の平均年収は534万円 |
TOEIC800点台について
まずはTOEIC800点台の英語力とその評価についてです。
TOEIC800点台の英語力・レベル
TOEIC800点台を取る人の割合はおよそ受験者のうち15%ほどだと考えられます。
正確な数値は分かりませんが、2022年度のデータではTOEIC受験者のうち795点以上の人の割合が15.9%ほどであることから、それよりやや低い割合の受験者が800点以上を取っていると推測できます。
参考:国際コミュニケーション協会「公開テスト 平均スコア・スコア分布 一覧」
また、TOEIC800点は、外国語の運用能力の指標であるCEFRではB2(6段階中、上から3番目)、英検では準1級に相当するレベルです。ちなみに英検準1級は「大学中級程度」と言われています。
参考:文部科学省 「各試験団体のデータによるCEFRとの対照表」
一般的にTOEIC800点台になると、ビジネスに関わるほとんどの英文を正確に読むことができ、英語で仕事をこなすこともできます。しかし、長く複雑な文になったりすると、構文やニュアンスを取り違えたり(倒置や省略を見落とすなど)することもあります。
評価
TOEIC800点台になると、英語上級者として見られることが多くなるでしょう。また英語で十分に仕事がこなせるレベルであることから、転職で有利になるだけではなく、社内においても海外と関わる仕事にチャレンジできる可能性が高まると考えられます。
また、転職サイトの『doda』の調査では、TOEICのスコアと年収には相関関係があることが分かっています。このデータによると、TOEICのスコアを持っていない人の平均年収が379万円であるのに対し、TOEIC800点台の平均年収は487万円とおよそ1.3倍になっており、TOEIC800点台というスコアは社会的にも十分に評価されるスコアであることが伺えます。
参考:https://doda.jp/global/guide/004.html
TOEIC900点台について
次にTOEIC900点台の英語力と評価について見ていきましょう。
TOEIC900点台の英語力・レベル
TOEIC900点以上を取る人の割合は約4%です。
これはTOEIC795点以上がおよそ15.9%であるのに対して10%以上低い数値であり、TOEIC900点を持っていることは、20人に1人のレベルの英語力を持っている証明になります。
参考:国際コミュニケーション協会「公開テスト 平均スコア・スコア分布 一覧」
前述のCEFRではB2〜C1(6段階中、上から3番目〜2番目)に相当し、英検では準1級〜1級レベルとなります。CEFRのC1や英検1級というと、日本で生まれ育った英語学習者にとっては、最高レベルと言っても過言ではありません。
TOEIC900点になると、ビジネスにおけるメールなどの文書が正確に読めるだけでなく、はっきり発話された英語はほぼ正確に聞きとることができるようになります。もちろんノンネイティブとしての制約を感じることはありますが、仕事においては十分な英語力と言えるでしょう。
評価
私自身が就職活動をしていたときのスコアはTOEIC965点でしたが、やはり900点台のスコアがあると英語力が評価されることが多かったように思います。また商社に入社後もTOEICのスコアがあったことで、海外と関わる部署に異動をさせてもらうことができました。
ちなみに先ほどの『doda』の統計によると、TOEIC900点以上の平均年収は534万円です。これはTOEICのスコアがない人と比べると1.4倍の数値であることからも、TOEICでハイスコアを取得するビジネスにおける費用対効果はかなり高いと言えそうです。
TOEIC800点から900点達成に必要な勉強時間と英語スキル
ここからは、現在TOEIC800点の人が900点に達するために必要な勉強時間や英語力について見ていきましょう。
TOEIC900点突破に必要な勉強時間
TOEIC800点台の人が900点を突破するには、およそ300時間の学習時間を見込んでおくことをおすすめします。300時間とは、平日で1.5時間、週末に3時間の学習をしたとして、およそ半年間の学習量に相当します。
参考:A Teacher’s Guide to TOEIC Listening and Reading Test Preparing Your Students for Success
ただし、これはあくまで平均的な学習時間であって、人によってはこれよりずっと長い時間がかかることもありますし、逆に短い時間で達成する可能性もあります。ちなみに私自身は、900点を突破するまでに、上記の学習時間よりもずっと長い時間を要しました。
既にTOEIC800点を持っている方は英語上級者です。そのため、そこからさらに900点までスコアを上げるには、相応の時間を要します。
これは英語学習に限った話ではありませんが、一般的に初心者ほど上達が速く、上級者ほど上達のカーブは緩やかになっていくものです。そのため、TOEIC500点から600点に上げるよりも、800点から900点に上げる方がずっと険しい道のりになるのです。
TOEIC900点に必要な英語スキル
では、TOEICで900点を取るために求められるスキルとは、具体的にどのようなものなのでしょうか。
TOEIC900点に必要なリスニング力
まずリスニングは、ほぼ満点に近いスコアが取れていることが理想的です。
一言一句すべて聞き取れる必要はありませんが、ディクテーションをすれば90〜95%くらい書き取れる英語力が必要になります。また問題の9割くらいの確信をもって選ぶことができ、結果的に100問中95問くらいに正解できるリスニング力を目指しましょう。
TOEIC900点に必要なリーディング力
一方でリーディングでは、1分間に150〜160語くらいのスピードで9割以上の理解度で読めるリーディング力が求められます。
一般的にこのスピードで英語が読めると、TOEICのリーディングの問題を時間内に解き終わることができると言われています。すべての問題に目を通して、100問中80問以上の問題に正解できると、TOEIC900点にぐっと近づくことができるはずです。
TOEIC800点から900点を目指す人におすすめの参考書・問題集
ここからは、既にTOEIC800点レベルの方が、900点を突破するためにぜひ活用していただきたいテキストを3冊紹介します。
公式TOEIC Listening & Reading 800+
『公式TOEIC Listening & Reading 800+』は、低い正答率を含んだ問題を中心に構成されており、難問については手厚い解説がなされているのが特徴です。
「パート別 難問の傾向」
「難問100選 演習」
「本番形式テスト 200問」
という3部構成になっています。
ただし正解率が低い問題であっても、学習者によっては迷わず解けるものもあるはずですので、問題をひととおり解いてみて、迷った問題や間違えた問題を中心に復習するのがおすすめです。
3週間で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト900点!
『3週間で攻略 TOEIC(R) L&Rテスト900点!』はその名の通り3週間(15日間)でTOEIC900点を目指すというコンセプトの問題集です。
本書は「3回チャレンジ法」という学習法を採用していて、同じ模試に3回繰り返し取り組むことで、確実に英語力を伸ばすことができます。
まず最初はTOEICの模試を2時間で解き、次に時間制限なしで復習し、最後に同じ問題に2時間かけてトライするという流れです。
毎日のやるべきタスクが明確になるのも、このテキストを使って学習するメリットのひとつになります。
TOEIC® L&Rテスト精選模試
『TOEIC® L&Rテスト精選模試』はGaribenのハイスコアコース(TOEIC800点を狙うコース)でも使用している教材です。
本書の特徴はなんといってもその難易度の高さです。特にリーディングの複数文書の問題の難易度が高く、公開テストや公式問題集の問題と比べてもとても時間がかかります。
そして、細かいところまで読んでいないと解けない問題もあり、上級者でもかなり正解率が落ちるのではないでしょうか。しかし、そういった問題にこそ伸びしろがありますので、自分が解けない問題をひとつでも多く見つけるという意味でも『精選模試』はおすすめの一冊です。
TOEIC900点達成のための勉強戦略
ここからはTOEIC900点を突破するために、先ほど紹介したような模試形式の参考書を使用することを念頭に置いて、ぜひ実践していただきたい4ステップの学習法についてお伝えしていきます。
ステップ1. 時間を測って模試を解く
まずは時間を測って解いて、タイムマネジメントの感覚を養います。
TOEICで900点を目指す皆さんであれば、リーディングセクションを
Part5:10分
Part6:8分
Part7:残りの時間
で解くことを目安にしてみてください。
もし仮にPart7がすべて解ききれないようであれば、難易度が高い問題や時間がかかる問題を飛ばすのがおすすめです。具体的には20秒以上考えても分からないPart5の語彙問題、本文に書かれていない選択肢を選ぶPart7のNOT問題(特に選択肢が長いもの)などです。
このように解くべき問題を見極める力を磨くことで、より効率的にスコアを上げていくことができます。ちなみに、この段階での答え合わせでは、正解・不正解だけマークをして、解説までは読まないでおいてください。
ステップ2. 時間無制限でとことん問題と向き合う
次に時間無制限で、辞書を使わないで解いてみましょう。先ほどのような時間配分で解くと、なかには雑に解いてしまう問題もあるはずです。
例えば、英文をすべて読まずに選択肢を選んでしまったPart5の問題や、根拠が曖昧なままマークを塗りつぶしてしまったPart7の問題などです。
2回目に模試を解く際には、こういった中途半端に解いてしまった問題ととことん向き合い、特に不正解だった問題やまぐれで正解した問題に関しては、なぜ自分が間違えてしまったのかなどを分析しながら解いてみてください。
ステップ3. スクリプトや本文を丁寧に読み込む
ここからは辞書を使いながら、リスニングのスクリプトとリーディングの本文を、じっくり精読をしていきましょう。
テキストについている解説も参照しながら、分からない単語は辞書を引き、長い英文は意味の切れ目ごとにスラッシュを入れながら、一文ずつ構文を解析しながら読んでいきます。このときに音読を並行しておこなうことで、学習効果をより高めることができます。
リスニングパートであれば、ぜひ音声を再生しながら、それを真似して声に出してみてください。リーディングパートであれば、できる限り正確な発音を心がけて音読できたら大丈夫です。
ステップ4. 解答の流れを確認する
英文を正確に聞いたり読んだりできるようになったら、実際の試験における解答の流れを確認します。
リスニングであれば、どのタイミングで解答の根拠が登場するのか、また設問の先読みはどの程度おこなうかなどを確認するようにしてください。
またリーディングについても、Part5を解答するまでの思考回路や、Part7で本文から読むのかあるいは設問から読むのかなど、ご自身の解答スタイルを今一度確認しておきましょう。
自分自身が最大限パフォーマンスを発揮できる解き方を身につけることで、TOEICのスコアをさらにアップさせることができるはずです。
まとめ
今回は、TOEIC800点と900点の英語力の比較、またTOEIC800点から900点をとるために必要な学習時間や具体的な学習戦略などについてお伝えしてきました。
TOEIC900点は受験者のなかでもほんの一握りの人しか到達できないレベルではありますが、正しい方向で努力を続ければ、到達可能なスコアであるはずです。
ぜひこの記事が、TOEIC900点突破のきっかけになると嬉しいです。
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