こんにちは。TOEIC満点講師/Garibenコーチの上田哲也です。
今回はTOEIC学習における目標の立て方についてお話ししていきます。
TOEICのスコアアップを目指すにあたって、
「目標を立てた方が良いのは何となく分かってはいるけれど、イマイチどうすれば良いのか分からない」
という方は多いのではないでしょうか。
この記事では、なぜそもそも目標設定をする必要があるのか、その際に意識しておくべきポイント、また目的別のおすすめの勉強法についても紹介します。
TOEICの目標設定をしたいけれどやり方が分からない、目標を立てたはいいけれど具体的な勉強方法に悩んでいるという方に読んでいただけると嬉しいです。
この記事を書いた人
上田 哲也
バンクーバー留学、鉄鋼商社勤務を経て、現在は英語講師として企業研修などを担当。著書に『時短省力 私の英語勉強法』がある。TOEIC990点 / 英検1級 / IELTS8.0 / 国連英検特A級
この記事を監修した人
セレン
留学経験、海外経験ゼロから31歳で英語学習を独学で開始しTOEIC LR満点、TOEICスピーキング満点、英検1級を取得。日本最大手IT企業にてTOEIC研修&英語学習カウンセリングを6年間担当。英語事業コンサルティング、高校生英語指導も行う。「英語のあたらしい読みかた」著者。
なぜTOEIC学習に目標設定が必要なのか?3つの理由
そもそもなぜTOEIC学習において目標設定をするべきなのでしょうか。ここでは目標を立てるべき理由を3つ紹介します。
理由1 やるべきことが明確になる
まず目標を立てることで、やるべきことが明確になります。
仮に皆さんが、
TOEICの目標設定で、3ヶ月後に語彙力を5000語レベルにしよう
と決心したとします。
もし現在の語彙力が4000語であれば、その差は1000語ですので、1ヶ月で約300語ずつ単語を覚えていけばいいと分かります。
逆に目標がない状態では、「英語頑張らないとな……」と漠然と思うだけで、それ以上にやるべきことが明確になることはありません。
やるべきことを明確にするために、まずは目標を設定することが大切なのです。
理由2 行動につながる
次に目標を立てることで、行動しやすくなります。
これは「理由1」の延長線上にあることですが、目標を立てるとやるべきことが明確になり、結果的に行動にも繋がるのです。
例えば、先ほどの単語学習の例のように、3ヶ月間で1000語の単語を覚えようとするとします。そうすると「毎日1時間は単語を覚える」というようにやることが明確になり、実際に勉強できる確率もグッと上がるはずです。
一方で、目標がなく漠然とTOEICを頑張ろうとしている人の場合はどうでしょうか。
きっと書店で何となくTOEICのテキストを買って、時間があるときに参考書をパラパラとめくるだけになってしまうでしょう。これではTOEICのスコアアップは難しいはずです。
人間はやるべきことが明確であればあるほど、行動に移しやすいと言われています。ですので、しっかり行動に繋げるためにも、英語学習における目標設定はとても大切なのです。
理由3 スコアアップを達成できる確率が上がる
最後に、目標を立てることで、スコアアップを達成できる確率が上がります。
やることが明確になるため、行動に移しやすくなり、そして結果的に目標を達成する可能性が高くなるわけです。
もちろん、目標を立てたからと言って、確実にそれを達成できる保証はありません。しかし、目標を立てなければ成功する可能性は限りなくゼロに近くなってしまいます。
例えば、富士山に登ることをイメージしてみてください。
「富士山に登る」という目標を立てずに、偶然登頂してしまうことはあるでしょうか?きっとあり得ないですよね。
富士山に登るなら、まずは登頂するという決意を固めて、いつ登るのか予定を決め、必要な装備品を揃えた上で、登山に臨むはずです。もしかすると体力的に山頂まで登ることができないこともあるかもしれません。ですが、最初の目標設定がなければ、登頂の可能性はゼロなのです。
このように、英語学習においても目標を立てることで、それを達成できる確率を上げることができます。
TOEICの正しい目標設定のポイント
では実際に目標を設定するときに、意識するべき点にはどんなことがあるでしょうか。
ここからは目標設定におけるポイントを3つお伝えしていきます。
ポイント1. 目標は「目的」から考える
まずは、そもそもご自身がなぜTOEICを受験するのかを考えてみましょう。
TOEICを受験する理由は人それぞれです。海外留学を目指すのか、あるいは就職活動を有利に進めたいのかなどで、目標とするスコアや、それを達成するためのアプローチが変わってきます。
ですので、目標設定をする際は必ず、ご自身の目的が何かを確認するようにしてください。
ちなみに、「目的と言ってもピンとこないな……」と感じる方は、この記事の後半で目的別の目標設定の仕方や、具体的な学習方法について解説しているので、そちらをご参照ください。
ポイント2. 今日何をやるかまで落とし込む
次に、目標を立てる際は、必ず「今日何をやるか」まで明確になるようにしましょう。目標を日々の行動に落とし込むことで初めて英語力は伸びていきます。
例えば「TOEICで700点とる」という目標を立てたとします。
そうしたら、そのスコアを達成するために、
- 単語はいくつ覚えるべきなのか
- テキストは何を使うべきなのか
- 1日の勉強スケジュールはどのようになるか
まで、しっかりセットで考えていきます。
できることなら、勉強する内容だけでなく、時間と場所までセットで考えられるとベストです。
例えば、朝の通勤電車ではTOEIC公式問題集のPart3とPart4の音声を聴き込む、くらいに具体化しておくと良いでしょう。
どれだけ良い目標を立てても、実際に勉強しなかったら英語力は変わりません。ですので、目標は必ず「今日何をするのか」まで具体的に落とし込んでみてください。
ポイント3. 結果ではなくプロセスに集中する
最後に、目標を立てる際は、結果ではなくプロセスに集中するようにしましょう。これは前述のポイントとも関連するのですが、とても大事なことです。
よく目標設定で「TOEIC800点取ります!」といった内容を見ることがあります。もちろん、このような目標設定も素晴らしいものですし、私自身も試験のスコアを目標にすることはあります。
ですが実際のところ、このような目標を立てても、英語力が上がるとは限りません。TOEIC学習をする誰しもが高いスコアを目標にするわけですが、結果を出す人とそうでない人がいます。
結果を出す人ほど、目標とする結果を得るために、プロセスを重視します。
例えば「TOEICで800点取る」という目標を立てるにしても、
「公式問題集を1冊を解き切る」
「金のフレーズの860点レベルの語彙までをすべて覚える」
「TOEIC公開テストを年内に3回受験する」
などプロセスに落とし込むことで、目標達成の確率はグッと上がるはずです。
私たちは結果をコントロールすることはできません。私たちの力が及ぶのは、何をするのかというプロセスだけです。ですから、結果を出すための日々の過程にフォーカスするよう努めてみてください。
【目的別】TOEICの適切な目標設定とおすすめの学習法
ここからは、目的別の目標設定の仕方と、おすすめの勉強方法について紹介していきます。
ぜひ皆さんの目的に合わせた目標設定や勉強方法の参考にしてください。
はじめてTOEICを受験する人の目標設定と学習法【目標600点】
これからはじめてTOEICに挑戦する方であれば、まずは600点を目指してみてください。
ちなみに、TOEIC受験者の平均点はおよそ600点前後ですが、中高で英語を勉強してきた方であっても、一定期間しっかり腰を据えて頑張らないと取れない点数でもあります。ですので、これから紹介する学習方法をしっかり実践して、目標の達成をしていきましょう。
TOEIC初心者がまず600点を取るために必要なのは、基本的な単語と文法を抑えることです。
具体的には単語であれば4000語、文法であれば現在完了形や関係代名詞など、中学校で習う範囲を理解しておく必要があります。
テキストは、まず『TOEIC L&R TEST 出る単特急 銀のフレーズ』で単語力を固めます。
TOEIC L&R TEST 出る単特急 銀のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)
このテキストはTOEICで600点を目指す人向けに作られたものですので、こちらに掲載されている単語はすべて覚えるつもりでいきましょう。
また文法については、『中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。』など中学英語に特化したテキストを使うと良いでしょう。
ぜひレイアウトなどを比べてみて、ご自身のモチベーションが上がる1冊を見つけてください。
参考:1ヶ月でTOEIC600点は目指せる?短期集中でスコアアップを狙う勉強法【満点講師が伝授】
海外留学を目指す大学生の目標設定と学習法【目標700点】
海外留学を目指す方であれば、少なくともTOEIC700点レベルを取っておくと安心です。
もちろん英語力は高いに越したことはありません。
また、実際には現地の学校で学ぶとなると、TOEIC700点より高い英語力が求められることもあるでしょう。しかし、基礎力をしっかりつけておくという意味では、TOEICの英語を正確に理解できる力は必ず役に立ちます。
学習方法としては、まずTOEICの王道の単語帳である『TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ 』を使って、730点レベルの語彙までを確実に覚えておくようにしましょう。
TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)
右ページの英単語を見て日本語が出てくるようにするだけでなく、左ページのフレーズや例文も含めて音読や暗唱をすることで、使える英語力を身につけることができます。
またTOEICのスコアアップのためには、一般的にPart5の文法問題は「空欄の前後だけを読んで解答する」ようなテクニックが有効です。
しかし、海外留学を視野に入れている場合は、『公式TOEIC Listening & Reading 問題集』を1冊購入し、リスニングのPart3、Part4やリーディングのPart7などに重点的に取り組み、「まとまった英語を読んで確実に理解する」ことを意識して学習してみてください。
公式TOEIC Listening & Reading 問題集 9
このような学習をすることで、TOEICのスコアも上げつつ、海外でも通用する実践的な英語力を鍛えることができます。
参考:TOEICスコア600点から700点を超える勉強法【満点講師が徹底解説】
就職活動でTOEICスコアをアピールしたい大学生の目標設定と学習法【目標600点〜750点】
就職活動で有利になるスコアは一般的にTOEIC600点以上と言われています。
ただし実際には企業によって学生に求めるスコアが違ったり、面接がいきなり英語になったりすることがあるので(私も就活生時代にそのような経験があります……)応募する会社によって目標は臨機応変に変える必要があります。
600点を目指す場合は、まず基礎力を固めることが最優先です。先ほど紹介した方法で、単語と文法をしっかり固めるようにしましょう。その上で、『公式TOEIC問題集』に取り組みながら、スラッシュリーディングや音読などを駆使して、丁寧に英文を理解する力を身につけていきます。
また、TOEICの直接的な対策ではありませんが、面接で英語で質問されても答えられるように、ぜひ志望動機や自分の強みなどは、英語でも言えるように練習しておきましょう!
転職・昇給にTOEICを生かしたい社会人の目標設定と学習法【目標700点〜800点】
外資系企業への転職を目指したり、社内でTOEICのスコアが求められているという方もいるでしょう。
企業によって求めるスコアは異なりますが、ここではTOEIC700〜800点を目指すと仮定します。
このレベルを目指されている方であれば、日々の学習に音読を取り入れている方も多いかと思いますが、それに加えてぜひシャドーイングを実践してみてください。
シャドーイングは英語の音声を追いかけて、スクリプトを見ないで発話するトレーニング方法のことです。
そのため、英語初心者の方にはやや難易度が高い学習法ではありますが、より高度な英語力を身につけるには必須のトレーニングのひとつです。
実践をする際は『TOEIC公式問題集』の長文のリスニングパート(Part3とPart4)を活用するのがおすすめです。
シャドーイングは英語の音声を正確にキャッチする力を鍛えるだけでなく、スピーキングにおける発話スピードを高める効果も期待できます。
そのため、ビジネスシーンで英語をガンガン使う必要があるという方には是非実践していただきたい学習法です。
参考
– シャドーイングとは?TOEIC満点講師がやり方・コツを解説【英語初心者もOK】
– 3ヶ月で達成!TOEIC600点から800点まで伸ばす勉強法【満点講師が解説】
まとめ
今回は目的別のTOEICの目標設定の仕方と、それぞれの目標を達成するための具体的な学習方法についてお伝えしてきました。
目標を立てるメリットとしては、
- やるべきことが明確になること
- 結果的に行動に繋がりやすくなること
- 目標達成の確率が上がること
が挙げられます。
そして目標を立てるポイントは、
- 目的から考える
- 日々の行動を具体的にイメージする
- 結果ではなくプロセスに集中する
ことです。
みなさんが英語を学ぶ理由、またなぜTOEICのスコアを必要とするかによって、目標のスコアもアプローチの仕方も変わってきます。ですので、ぜひこの記事を参考に、適切な目標設定をしてみてください。
この記事が、TOEICの目標を立てる皆さんのお力になれることを願っています。