「就職や転職にTOEICスコアがあると有利」と聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
合否のないTOEICはスコアで結果が出ますが、
「何点ぐらいがすごいんだろう?」
「TOEIC700点って難しいのかな?」
「結局何点を目指せばいいの?」
と思っている方も多いはずです。
そこで本記事ではTOEICの最高点や最低点、平均点や、各スコアレンジのレベル感、100点アップのための勉強時間などをまとめました。
これからTOEIC学習を始めようと思っている方や、「何点を目標にすればいいかわからない」という方は、この記事を参考にして目標スコアを決めることから始めてみてください。
短期間で目標のTOEICスコアを達成する方法も紹介するので、コツを押さえて勉強して、最短で目標スコアを取得しましょう。
この記事を書いた人
阿武 夏織
TOEIC930点、英検1級取得。外資系企業、日系企業での海外営業勤務を経たのち渡米し、アトランタでNBAダンサーとして活動。ライターとしてさまざまな英語学習サイトで学習方法に関する記事をはじめ、海外文化・海外旅行についての記事などを執筆中。
この記事を監修した人
セレン
留学経験、海外経験ゼロから31歳で英語学習を独学で開始しTOEIC LR満点、TOEICスピーキング満点、英検1級を取得。日本最大手IT企業にてTOEIC研修&英語学習カウンセリングを6年間担当。英語事業コンサルティング、高校生英語指導も行う。「英語のあたらしい読みかた」著者。
TOEICの最高点と最低点は何点?
これからTOEICの受験を考えているなら、まずTOEICの最高点・最低点が何点なのか、平均点はどのくらいなのかについて押さえておきましょう。
最高点・最低点・平均点が分かれば、初めての受験でも目標のTOEICスコアを設定しやすいです。TOEICスコアの算出方法についても紹介します。
TOEICの最高点は990点、最低点は10点
TOEICのスコアは5点刻みで、最高点・最低点は下記です。
最高点:990点
最低点:10点
– リスニングセクション:5〜495点
– リーディングセクション:5〜495点
最低点が0点ではなく10点なので、もし全問間違えたとしても10点はもらえる仕組みです。そのため、TOEICで0点を取ることはできません。
またスコアが5点刻みであることから、743点のようなスコアを取ることも不可能です。さらに満点の990点を取得する場合も、必ず全問正解が必要とは限りません。
TOEICの平均点は580点前後
TOEICを日本で運営している国際ビジネスコミュニケーション協会によると、2019年度のTOEIC公開テストの平均点は全体で588点、リスニングセクションが323点、リーディングセクションが265点でした。社会人の平均点は612点、学生は567点です。
年度によって平均点にばらつきはあるものの、580点前後が平均点となっています。
2020年度は全体の平均点が620点と例年より高くなりました。これは新型コロナウイルスの影響で受験が抽選方式となったことで、受験のハードルが上がり、学習意欲が高い人が多く受験したことが影響していると考えられます。
2021年度は定員制や抽選方式を導入し、午前・午後の2回テストを実施していますが、平均スコアは611点で、まだコロナ禍前の平均点よりも高くなっています。
ちなみに直近10回の平均点は以下のとおりです*。
リスニング | リーディング | 合計 | |
---|---|---|---|
第294回 (2022年5月29日 午前) | 334.9 | 208.8 | 615.7 |
第295回 (2022年5月29日午後) | 324.4 | 278.0 | 602.4 |
第296回 (2022年6月26日 午前) | 324.5 | 277.5 | 601.9 |
第297回 (2022年6月26日 午後) | 324.8 | 270.7 | 595.5 |
第298回 (2022年7月24日 午前) | 330.1 | 279.3 | 609.4 |
第299回 (2022年7月24日 午後) | 325.5 | 269.6 | 595.1 |
第300回 (2022年8月21日 午前) | 324.4 | 280.6 | 623.0 |
第301回 (2022年8月21日 午後) | 328.3 | 282.1 | 610.4 |
第302回 (2022年9月11日 午前) | 329.9 | 271.4 | 601.3 |
第303回 (2022年9月11日 午後) | 320.3 | 271.7 | 591.9 |
*参照:2022年10月時点
どの回もリスニングセクションは平均点が300点台前半、リーディングセクションは200点台後半となっており、リスニングセクションの方が高得点を取れている人が多いです。
スコアの算出方法について
「1問も正解していないのに10点がもらえるのは不思議だ」と感じる方も多いでしょう。これはTOEICの特殊なスコア算出方法が影響しています。
TOEIC公開テストでは毎回新しい問題が出題されるので、試験回によって難易度にある程度のバラつきが出てしまいます。
このバラつきをなくし、いつ受験しても平等なスコアが出るように導入しているのが標準偏差を用いた統計的なスコア算出方法です。このTOEIC独自のスコア算出方法によって、全問間違えても0点にはならないようになっています。
スコア配分やアビリティーズメジャードの割り振りは公表されていない
TOEICは5点刻みでリスニングセクション100問、リーディングセクション100問の合計200問が出題されるため、スコア配分は1問5点だと思っている人も少なからずいます。しかし、TOEICのスコア配分は公開されていません。
そのため、目標スコアを取得するために、正解しなければならない問題数も正確には不明です。ただ、公式問題集や各出版社が出している模試付き問題集にはスコア換算表がついているため
「だいたい◯問正解すれば目標スコアが取得できるだろう」
という予測はつけられます。
また、TOEICはリスニングセクションがPart1〜4、リーディングセクションがPart5〜7に分かれていますが、各パートのアビリティーズメジャード(正答率)は非公開です。
スコアシートにはAbilites Measuredという欄がありますが、各パートの正答率ではなく、英語力を測る5項目の能力値が表示されています。
TOEIC各スコアレンジのレベル感について
「転職したい会社の要件が750点になっている」
「友達が800点取ったと話しているけれど、それってすごいのかな?」
と疑問に思っている方もいらっしゃるでしょう。
どれくらいのスコアで、どのような評価がもらえるかがわからないと、目標スコアを決められません。各スコアレンジのレベル感を紹介しますので、目標設定に役立ててみてください。
TOEICスコア 10〜395
395点未満は、十分な語彙力がなかったり、基礎英文法を理解していないレベルになります。
国際ビジネスコミュニケーション協会が発表しているPROFICIENCY SCALEによると、
- 220点未満は
「コミュニケーションができるまでに至っていない」レベル - 220〜465点は
「通常会話で最低限のコミュニケーションができる」レベル
です。
簡単な英語なら理解はできる人もいますが、難しい単語や複雑な構文が出てくると理解することは難しいでしょう。リスニングでも聞き取れない問題が多いはずです。
10〜395は幅がありますが、英語力のアピールにはなりません。履歴書に書いてもマイナスイメージを持たれてしまうので、このスコアであれば書くのは控えておきましょう。
2021年度のデータによると、TOEICスコア10〜390を取得した人は、全体の11.04%です。
TOEICスコア 400〜595
400〜495点を取得している人は基本をある程度理解し始めているものの、まだ理解不足で難しい単語や構文が理解できません。中学程度レベルの英文法はなんとなく理解しているレベルです。
500〜595点を取得している人は、中学レベルの基礎力がある程度ついていて、英検の2級に合格できるかできないかのレベルと言えます。難しい文章もある程度は理解できるようになっていますが、複雑な構文や内容を理解するのは難しいでしょう。
580点前後であれば、平均レベルの英語力があると言えます。
400〜595点も、まだ英語力をアピールするには十分な英語力とは言えません。
ただ、国際ビジネスコミュニケーション協会が実施した英語活用実態調査によると、500点台後半を要件にしている企業もあるため、履歴書に書くかどうかは応募する会社の募集内容によって判断してください。
2021年度のデータによると、TOEICスコア395〜590を取得した人は全体の34.7%です。
TOEICスコア 600〜795
600〜695点を取得している人は、英語の基礎文法を身につけており、すべてを理解できないものの、リスニングでもリーディングでも大まかな内容は理解できているレベルです。複雑な内容や専門的な内容はまだ理解が難しいでしょう。
700〜795点は、かなり複雑な問題や内容をのぞき、ある程度英語が理解できるレベルです。日常会話や自分の専門とする内容であれば、ネイティブとも会話ができる英語力が備わっています。
ただ、ネイティブ並みのスピードで理解するのは、まだまだ難しいでしょう。PROFICIENCY SCALEでは700点を「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている」レベルとしています。
TOEIC600点は、一般的に「履歴書に書けるスコア」と言われています。初めてTOEICを受験する人のなかには、600点を目標とする人も多いです。
国内の大手企業の中にも600点を要件としている企業は少なくありません。企業にもよりますが、600〜795点であれば、ビジネスで活かせる十分な英語力がついているとアピールできます。
2021年度のデータによると、TOEICスコア595〜790を取得した人は全体の38.4%です。
TOEICスコア 800〜990
800〜895点を取得している人は、ビジネスシーンでも日常生活でも、複雑な内容を英語でしっかり理解できる英語力を身につけています。
英語のニュースや洋書など、一部わからない単語があったとしても内容を把握できるでしょう。PROFICIENCY SCALEでは、860点が「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる」レベルとされています。
800〜990点を取得していれば、高い英語力を持っていることを就職や転職でアピールできます。国内大手企業の海外部門や外資系企業などTOEICのハイスコアを要件としている企業にも挑戦できるでしょう。
900〜990点を取得している人は、リスニングやリーディングはほぼ問題なく理解し、ネイティブほどではないとしても、同等にやりとりできる英語力を持っています。ミーティングなど複数人での会話が行われる場面でも、正確に内容を把握し、やりとりに参加できます。
2021年度のデータによると、TOEICスコア795〜990を取得した人は、全体の15.9%です。
【おまけ】TOEIC満点ってどれくらいすごいの?
TOEICは満点を取った人の人数を公開していません。
ただ、第287回テストのスコア分布を見ると、リーディングセクションで495点満点中470点以上を取得している人は1.6%となっているため、990点満点を取っている人はこれよりも少ない割合となります。
TOEICは回答のテクニックがありますが、満点の取得に必要な最終レベルの問題は、テクニックでは手が出ない問題であることがほとんどです。
TOEICにおける最難関の問題は複雑な回答ロジックのものや正解の選択肢の判断が難しいものが多く、対策をしていなければネイティブや帰国子女でも満点を取ることは難しいと言われています。TOEICで満点を取得している人は、まさにTOEICを極めた人なのです。
1日3時間学習すれば2.5〜3ヶ月で100点あげることも可能
一概には言えませんが、TOEICで100点アップさせるためには、200〜300時間程度の学習が必要と言われています。
学習時間とTOEICスコアの目安として広く知られているオックスフォード大学出版局の「A Teacher’s Guide to TOEIC® Listening & Reading Test Preparing Your Students for Success」によると、各スコアを取得するために必要な時間は以下のとおりです。
目標 スコア | |||||||
現在のスコア | 350 | 450 | 550 | 650 | 750 | 850 | 950 |
250 | 200時間 | 425時間 | 700時間 | 950時間 | 1150時間 | 1450時間 | 1750時間 |
350 | 225時間 | 450時間 | 700時間 | 950時間 | 1125時間 | 1550時間 | |
450 | 225時間 | 450時間 | 700時間 | 975時間 | 1300時間 | ||
550 | 225時間 | 450時間 | 725時間 | 1050時間 | |||
650 | 225時間 | 500時間 | 825時間 | ||||
750 | 275時間 | 600時間 | |||||
850 | 325時間 |
より高いスコアを狙うほど、100点アップするために必要な時間は長くなります。
この表をもとにして考えると、現在550点の人が100点アップさせて650点を取得するために必要な学習時間は225時間です。1日3時間毎日学習すれば、約2.5ヶ月で650点取得が目指せることになります。
また、現在750点の人が850点を目指す場合に必要な学習時間は275時間です。1日3時間毎日学習すれば、約3ヶ月で850点取得が目指せます。
学習時間はあくまで目安ですが、目標スコアを決めて、どれくらいの学習時間が必要かを把握した上で、学習計画を立ててみましょう。
TOEICの目標スコアを最短で取得する5つのポイント
短期間で目標としているTOEICスコアを達成するためには、意識しておきたいポイントが5つあります。
これから紹介するポイントを押さえて、効率よく最短での目標達成を目指しましょう。
1. 現時点のレベルを知る
TOEICで目標スコアを達成するためには、まず現時点のレベルを知る必要があります。
現時点でのレベルがわからなければ、何をどう勉強していけばいいか決めることができません。
TOEICを受験して現在のスコアを確認するのがベストですが、受験しない場合は公式問題集や模試付き問題集を使って実際のTOEICと同じように問題を解いてみましょう。
時間も実際の試験時間と同様に設定します。公式問題集や模試付き問題集には、スコア換算表がついているので、おおよその現時点のスコアがわかります。
2. 明確な目標と無理のない学習計画を立てる
現時点のレベルがわかったら、目標スコア達成のためにどの程度の学習時間が必要か分かります。
学習時間はあくまで目安ですが、その時間をもとに「◯ヶ月で達成する」という明確な目標を立てましょう。
ただ、最短で達成したいがあまりに無理な学習計画を立ててしまうと途中で挫折してしまう可能性が高いです。学校や仕事で忙しいのに「毎日5時間勉強する」というような計画では、高確率で失敗してしまいます。
例えば、「平日は1時間、土日に3時間」というように、本当に達成できる学習計画を作り、毎日継続して勉強することを意識してください。
3. 目標スコアに合った学習を取り入れる
語彙力ひとつとっても、600点達成のために覚えるべき単語と、800点達成のために覚えるべき単語は違います。目標スコアを達成するためには、そのスコアを取得するために必要な学習を取り入れてみてください。
目標スコア別の参考書や単語帳などがあるので、それらを活用すると効率よく勉強できます。
TOEIC対策オンラインプログラムのGaribenは、TOEIC満点講師が目標に合った最適な学習課題を用意しているため、目標に合った効率のいい学習が可能です。
4. 定期的にTOEICを受験して弱点を見つける
現在TOEICスコアが500点で600点を目指している人が二人いるとします。同じレベルで同じスコアを目指していても、それぞれ弱点は異なるはずです。
効率よく最短で目標スコアを達成するためには、自分の弱点が何かを知り、弱点を徹底して対策する必要があります。
定期的にTOEICを受験し、スコアシートをもとに客観的に自分の弱点を分析してみましょう。TOEICの受験環境に慣れる効果も期待できます。
5. 勉強仲間を見つける
一人でコツコツ勉強することは大切ですが、一人で学習のモチベーションを維持し続けるのは大変です。でも、同じ目標を持った勉強仲間がいれば、お互いに刺激しあえますし、挫折しそうになった時でも「あの人も頑張っているから自分も頑張ろう」と思えます。
TOEIC勉強会やコミュニティ、SNSなどを使って、TOEIC学習の仲間を見つけましょう。
Garibenなら、5〜6人の仲間で学習過程を共有しながらTOEIC対策を行うので、一緒に頑張る勉強仲間がすぐに見つかります。
まとめ
本記事ではTOEICの最高点・最低点・平均点や、各スコアレンジのレベル感、最短で目標スコアを達成するコツなどを紹介しました。
これからTOEICに向けて学習を始めようと思っているのなら、どの点数がどれくらいのレベルなのかを把握し、何のためにTOEICを受験するのかを踏まえたうえで、自分に合った目標を決めることが大切です。
就職や転職を目指す会社が求めるレベルや、英語でどんなことができるようになりたいかを考えて、自分の目標を明確に決めてみてください。
目標を決めたら無理のない学習計画を立てることから始めてみましょう。