こんにちは。TOEIC満点講師/Garibenコーチの上田哲也です。
きっとTOEICの学習をしている皆さんのなかには、Part2に苦手意識があるという方が多いのではないでしょうか。
一般的にリスニングの長文パートであるPart3とPart4の方が難易度が高く、短文のPart2は比較的易しいとは言われますが、Part2には特有の難しさがあります。
この記事を書いている私自身も、長い間ずっとPart2に苦手意識がありました。しかし、実はいくつかのポイントを押さえておくだけで、Part2の正答率をUPさせることができます。
この記事では、Part2の問題形式から出題パターン、そしてPart2で正解するためのコツや勉強方法、参考書などについてお伝えしますので、これからTOEICのPart2を得点源にしたいという方は是非参考にしてください!
この記事を書いた人
上田 哲也
バンクーバー留学、鉄鋼商社勤務を経て、現在は英語講師として企業研修などを担当。著書に『時短省力 私の英語勉強法』がある。TOEIC990点 / 英検1級 / IELTS8.0 / 国連英検特A級
この記事を監修した人
セレン
留学経験、海外経験ゼロから31歳で英語学習を独学で開始しTOEIC LR満点、TOEICスピーキング満点、英検1級を取得。日本最大手IT企業にてTOEIC研修&英語学習カウンセリングを6年間担当。英語事業コンサルティング、高校生英語指導も行う。「英語のあたらしい読みかた」著者。
TOEIC Part2の概要と問題形式
まず最初に、TOEIC Part2とはどんな問題なのかについて解説します。
Part2はリスニング問題(100問)のなかの25問を占めます。
このパートでは、英文が1文流れ、内容に対する適切な応答をABCの選択肢のなかからひとつ選びます。
サンプル問題 No.10
Q. Mariko announced that she’s retiring in April.
(A) How many did you count?
(B) I’m not tired at all.
(C) Right, she’s been here twenty-five years.
引用:サンプル問題
Part2はTOEICのなかで唯一の3択問題でもあります。TOEICではリスニングとリーディングで合計200問の問題が出題されますが、Part2以外の問題はすべて4択です。
また、他のパートと異なり、テスト用紙には “Mark your answer on your answer sheet.” としか書かれていません。そのため、Part2はTOEICで唯一、問題用紙を見る必要がない特殊なパートだと言えます。
Part2を苦手に感じる理由
TOEIC Part2は一見簡単そうではありますが、苦手に感じてしまう人もきっと多いはずです。ここでは具体的に、Part2が難しく感じる理由について2つ紹介します。
理由1. 文脈のない短文が連続で読み上げられる
Part2では連続で25問の問題が読み上げられるため、多くの人は途中で集中力を切れてしまいます。
また、1つ前の問題の答えに自信を持てなかった際に「AとBどちらが正解かな…」と悩んでいると、あっという間に次の問題に進んでしまい、連続して間違えてしまうことがあるのもPart2ならではの難しさです。
理由2. 遠回しな回答がある
またPart2では、直接的でない応答が正解になるパターンが多くあります。
例えば「会議はどこで行われますか?」に対して「会議室Aです」のような応答がされれば簡単ですが、実際には「メールで連絡が来ていましたよ」といった間接的な返事が正解になることもあります。
TOEIC Part2の出題パターン
Part2のパターンの分類方法はいくつかありますが、ここでは大きく4つに分けて紹介します。
参考:公式TOEIC® Listening & Reading プラクティス リスニング編
その1. WH疑問文
まずは「WH疑問文」と呼ばれる、いわゆる疑問詞(What、Which、Howなど)から始まる疑問文です。
もし文頭にこれらの単語が聞こえた場合は、YesやNoで始まる応答は原則すべて不正解となります。そのため、仮に問題文の意味が分からなかったとしても、文頭でどの単語が使われていたかには、しっかり注意を払うようにしましょう。
また、WH疑問文の問題は、
- “Who is……?” に対して、人の名前が応答に含まれる
- “Why……?” に対して “Because” から始まる応答が正解になる
など、素直な問題が含まれるのも特徴です。Part2においてこれらの問題は得点源になりますので、確実に押さえておいてください。
その2. Yes/No 疑問文
次にYes/Noで答えられる、Yes/No疑問文と呼ばれるパターンです。
- “Do you……?”
- “Are you……?”
といった形の疑問文になります。
またYes/No疑問文には、「付加疑問文」と呼ばれる文末に “isn’t it……?” などを含む文や、「否定疑問文」と呼ばれる “Don’t you……?” などで始まる文も含まれます。
これらは文構造こそ違えど、基本的にはYes/Noで答えられる文であるため、この記事では同じカテゴリーに分類しています。
その3. 提案・依頼・許可
また「提案・依頼・許可」を表す疑問文があります。
これらは疑問文ではありますが、実質的には “Would you like to……?”(〜したいですか?)と「提案」をしたり、”Could you……?”(〜してくれませんか?)と「依頼」をしたりする文になります。
これらに対しては、”Of course.” や “Sure.” などの決まり文句が返答となったり、あるいは Yes/No で応答するパターンなどもあります。
その4. 平叙文
最後に、疑問文でも否定文でもない「平叙文」と呼ばれる文です。
平叙文の問題においては、
- 「問題」を報告して「解決策」を答えるパターン
- 「希望」を伝えて「提案」をするパターン
など、想定される状況はさまざまです。
すべての問題タイプに共通して言えることではありますが、Part2では話者の意図を適切に汲み取り、それに対して適切な応答を選択する英語力が不可欠になります。
TOEIC Part2で正解を導くためのポイント3つ
ここからは、Part2の正答率を上げるためのコツを3つ紹介します。
ちなみに、目標スコア別のPart2の目安の正解数は次の通りです。ぜひこれから紹介するポイントを参考にしながら、ご自身の目標のスコアを目指してみてください。
400点 → 約10問
600点 → 約15問
800点 → 約20問
900点 → 約22〜23問
ポイント1. 文頭には特に注意をする
まずPart2を解くときのポイントは、文頭に注意をすることです。例えばこちらの問題を見てみてください。
サンプル問題 No.7
Q. Where’s the new fax machine?
(A) Next to the water fountain.
(B) I’ll send a fax tomorrow.
(C) By Wednesday.
引用:サンプル問題
この問題は Where で始まっているため「場所」を尋ねていることが分かります。そして答えは、場所を指し示す (A) の “Next to the water fountain.” となります。
実際にはここまで素直な問題ばかりではありませんが、文頭に注目することで正解できる問題もあるので、このタイプの問題は確実に押さえておきたいところです。
また、今回の問題の選択肢には含まれていませんが、仮に選択肢に Yes/No で始まるものがあったとすれば、それらは確実に不正解だということが分かります。前述の通り、Yes/No で答えられるのは、”Do you……?” や “Are you……?” などで始まる疑問文だからです。
ポイント2. 同じ音が聞こえたらまず疑う
次に、問題文にある単語と同じ音、あるいは似た音が聞こえたら、不正解を疑うようにしましょう。
Part2は問題文が理解できていない人が適当に選んで正解にならないよう、あらゆる工夫がなされています。そのなかでも代表的なのが、問題文に出てきた問題と同じ単語、あるいは音が似ている単語が含まれる選択肢が誤答になるパターンです。
サンプル問題 No.9
Q. Martin, are you driving to the client meeting?
(A) Oh, would you like a ride?
(B) Nice to meet you, too.
(C) I thought it went well.
引用:サンプル問題
例えばこちらの問題では、問題文に “meeting” という単語があり、(B) には “meet” という単語があります。しっかりと問題文が聞き取れなかった人が、直感的に (B) を選ぶようになっている典型的なPart2の出題例と言えます。
ポイント3. 問題文から連想される単語も疑う
音が似ている単語だけではなく、問題文から連想できる単語も不正解になることが多くあります。
サンプル問題 No.8
Q. How well does Thomas play the violin?
(A) Sure, I really like it.
(B) Oh, he’s a professional.
(C) I’ll turn down the volume.
引用:サンプル問題
例えばこの問題では、問題文の “violin” から連想される (C) “I’ll turn down the volume.” が不正解の選択肢となっています。
このようにPart2は、引っかけ問題があるということを認識しておくだけで、正答率を上げることができるパートです。そのため、ぜひ日頃からこの出題パターンを意識して学習してみてください。
TOEIC Part2対策の勉強方法
ここからは、TOEICのPart2対策のための学習法を2つ紹介します。
ディクテーション
まず1つ目の学習法は、ディクテーションです。これは聞こえてきた音をすべて書き取る勉強法のことで、Part2のような短文リスニングの学習法として適しています(逆にPart3やPart4は長すぎてあまり向いていません)。
Part2の問題文と選択肢を1つずつ再生し、紙に書き出していきましょう。ディクテーションで何回くらい音声を聞くかには個人差がありますが、5回くらいを目処にしておくと良いかと思います。
リピーティング
次に紹介するのが、リピーティングです。これは、スクリプトを見ないで音声を聞いて一旦停止し、それをそのまま正確に復唱するというトレーニングです。
これは非常に負荷の高い学習法ですので、まずはスクリプトを見てリピートをするところからスタートして、だんだんと慣れてきたら、スクリプトなしのリピーティングに移行できるようにしましょう。
聞こえてきた音を、正確にかつ流暢に復唱できるようになれば、Part2で間違うことはなくなるはずです。もちろん、すべての問題をこのレベルで聞き取れる必要はありませんが、リピーティングに継続的に取り組むことで、少しずつリスニングの精度を高めていってください。
TOEIC Part2攻略におすすめの参考書・問題集
ここからは、TOEIC Part2の学習におすすめの参考書や問題集、ウェブサイトを4つ紹介します。
公式TOEIC Listening & Reading 問題集
まず取り組むべきは、TOEICの公式問題集です。実際の試験に最も近いクオリティの問題で練習できるのが公式の教材ですので、まずはここからスタートすることをおすすめします。
1冊につき2セットの模試が収録されているので、Part2が25問ずつ、合計で50問掲載されています。
もしかすると問題数が少ないと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、先ほど紹介したディクテーションやリピーティングのような学習を丁寧に行うと、かなり手応えのあるボリュームになるはずです。
TOEIC L&R TEST パート1・2特急 難化対策ドリル
次におすすめしたいのが、TOEIC学習者のなかで定番の教材である「特急シリーズ」の『TOEIC L&R TEST パート1・2特急 難化対策ドリル』です。
新書サイズのテキストに、Part1が50問、Part2が150問、それに加えて難易度の高いPart2の問題が25問掲載されています。
またPart2で特に難しいとされる、間接的な応答が多く収録されているのも本書の特徴です。
解きまくれ! リスニングドリル TOEIC® L&R TEST PART 1&2
もっと問題演習量を確保したい方には、「解きまくれシリーズ」の『解きまくれ! リスニングドリル TOEIC® L&R TEST PART 1&2』をおすすめします。
こちらは、特急シリーズと比べるとかなりサイズも大きいテキストですが、とにかく量をこなしたいという方は、ぜひこちらにもトライしてみてください。
860点を狙うTOEIC受験者のために、Part1とPart2の問題が8回分収録されています。各問題に「WH疑問文」などの問題の分類や、難易度が星5つで記載されているのも特徴です。
TOEIC L&Rテスト Part 2 応答問題 でる600問
さらに演習問題に取り組みたい方は、『TOEIC L&Rテスト Part 2 応答問題 でる600問』をおすすめします。
全部で628問(TOEIC25回分以上に相当)という、他の参考書と比べても圧倒的な問題数に取り組むことができるテキストです。
本書は大きく2つのパートで構成されていて、まずWH疑問文やYes/No疑問文などのタイプ別にPart2の学習をしてから、最後にPart2の25問の模試を10セット解くという流れで学習するのがおすすめです。
各問題には難易度が記載されていて、誤答の選択肢についても、問題のひっかけの意図なども含めて解説してくれています。
英語リスニング無料学習館
「英語リスニング無料学習館」はTOEICのリスニング学習が無料でできるウェブサイトです。Part2の問題は100問(テスト4回分)掲載されていて、再生速度も0.5倍・標準・1.5倍から選ぶことができます。
このサイトの1番の特徴は、問題文と選択肢をディクテーションできることです。またループ再生ができるため何度も再生する手間もかからず、日本語訳もついていて勉強しやすいデザインになっています。
URL: https://english-listening-center.com/
質問と選択肢を聞き取れなかった場合
Part2は短文がどんどんと読み上げられていくため、ときにはほとんど内容が掴めない問題もあるでしょう。そのような場合は、似ている音や、問題文から連想される単語は避けるようにしましょう。
前述の通り、TOEICでは聞き取れていない人が適当にマークすると不正解になるように設計されています。しかし、どのような意図でTOEICの問題が作成されているかを知ることで、引っかけ問題で点数を落とすことは避けられます。
聞き取れなかったときほど、聞こえた音や関連がありそうな語彙に引っ張られるものですが、そこをぐっと堪えることがスコアを分けるポイントになります。
またうまく聞き取れなかったとき、気持ちの切り替えができず、次の問題に影響が出てしまうことも避けたいところです。
繰り返しになりますが、Part2は文頭に正解のカギがあることが多いので、分からなかったら確実な不正解だけ避けてマークをして、すぐに次の問題に意識を向けるようにしましょう。
まとめ
今回はPart2の問題パターンや、正答率を上げるためのテクニック、そして対策におすすめのテキストやウェブサイトなどを紹介しました。
Part2は短文のセクションであるために、簡単だと思われがちですが、ときには上級者も悩ませることのある奥の深いパートでもあります。
ぜひこの記事を参考にしていただき、みなさんが目標とするTOEICのスコアを獲得されることを祈っております。