こんにちは。TOEIC満点講師/Garibenコーチの上田哲也です。
日々のTOEIC指導に携わっていて、おそらく一番多くいただく質問が
「リーディングの時間が足りません!」
というものです。
きっとこの記事を読んでくださっている皆さんも、TOEICで最後まで問題を解ききれず、悔しい思いをした経験が一度はあるのではないでしょうか。
今回はそんな皆さんに向けて、TOEICのリーディング時間が足りない問題を解決するための「6つの秘訣」をお伝えしていきます。
これら6つの秘訣には、皆さんがTOEICで目標スコアを達成するのに必要な、TOEICのコツがたくさん詰まっていますので、ぜひ最後まで読んでいってください!
この記事を書いた人
上田 哲也
バンクーバー留学、鉄鋼商社勤務を経て、現在は英語講師として企業研修などを担当。著書に『時短省力 私の英語勉強法』がある。TOEIC990点 / 英検1級 / IELTS8.0 / 国連英検特A級
この記事を監修した人
セレン
留学経験、海外経験ゼロから31歳で英語学習を独学で開始しTOEIC LR満点、TOEICスピーキング満点、英検1級を取得。日本最大手IT企業にてTOEIC研修&英語学習カウンセリングを6年間担当。英語事業コンサルティング、高校生英語指導も行う。「英語のあたらしい読みかた」著者。
秘訣1. 最適な時間配分を理解する
まずTOEIC試験のリーディングを時間内に解き切るために大事なのが「時間配分」です。
もちろん、英語を読むスピードがネイティブ並みであれば、時間配分なんて気にしなくて大丈夫です。しかし実際に私たちノンネイティブに、彼らほどのスピードで英語を読むことは現実的ではありません。
だからこそ、限られた時間で最大限のスコアを獲得するためにも、この時間配分を意識することがとても大事なのです。
ところで皆さんは、ご自身にとって最適な時間配分を把握していますか?
もちろん個人差はありますが、一般的には
- Part5とPart6で10分ずつ
- Part7では55分
の時間を使うことが推奨されます。決してこれが唯一の正解という訳ではありませんが、ご自身が実力を最大限発揮できる時間配分を知ることはとても重要です。
詳しくは後ほどお話ししますが、大事なことはPart5とPart6を最短で駆け抜け、Part7にしっかりと時間をかけること。
なぜなら、Part7は時間をかければかけるほど正答率が高くなるからです。だからこそ、Part7にしっかりと時間を使うための時間配分が大切になります。
Part7はリーディング問題で唯一、解答が紙面に書いてある問題です。そのため、Part7に時間をしっかりかけられる人は、TOEICで高いスコアを叩き出します。
秘訣2. TOEICはすべて解かなくていい
TOEICにおいて、リーディング問題をすべて解く必要はありません。
もしかすると、リーディングをすべて解き切る方法を知りたいと思っていた皆さんからしたら、少し期待外れな内容かもしれません。
ですが、皆さんが求めているのは「目標スコア」の達成であって、リーディングですべての問題を解くことではないはずです。
TOEIC受験者のなかには、すべての問題を解き終えているのに、目標スコアに到達できずにいる方もいらっしゃいます。そのため、すべての問題を解き切ることが必ずしも、目標スコアの達成に繋がらないことを覚えておいてください。
TOEICでは、まだ300点のビギナーも、990点満点を連発する超上級者も、みんな同じ問題を解きます。
ですからもし皆さんが満点を目指している場合を除き、TOEICの問題は必ずしも全問解き切る必要はないのです(もちろん満点狙いの人は、全問正解のプレッシャーから逃れることはできませんが……)。
例えば600点を狙っている方であれば、最後の3つの文書の問題には取り組まないと決めるという戦略も有効です。
また700〜800点を狙う方であっても、新聞記事のようなものが苦手だけどチャット形式の問題は得意だと分かっていれば、記事系の問題は飛ばすといった作戦を立てることもできます。
このように、そもそもTOEICのリーディングはすべてに取り組まなくても良いのだと知ることも、TOEICのスコアアップにおいて大切なことです。
TOEICは正解数に応じてスコアが出ます。そのため、簡単な問題だろうが、難しい問題だろうが、とにかく正解数を最大化することが、TOEICでハイスコアを出すためには必要です。
だからこそ、この「自分が解くべき問題に取り組む」という考え方を大切にしてください。
秘訣3. Part5は時間をかけても正答率は変わらない
ここからは、具体的にリーディングの各パートごとの取り組み方について見ていきましょう。
まず、Part5についてです。実は
Part5においては、どれだけ時間をかけても正答率はさほど変わりません。
もちろん極端に急いでしまってはいけませんが、必要以上に時間をかけても正解数は決して上がらないのがPart5の特徴です。なぜなら、Part5は知識を問う問題であり、知らないものはいくら悩んでも答えは出ないからです。
例えば「sesquipedalian」という単語の意味をご存知でしょうか?
これは「長ったらしい言葉」という意味の単語なのですが、おそらく初めて見た方がほとんどだと思います。もし皆さんにとってこの単語が初見であれば、いくらこの単語を眺めたところで、正解の意味は分かりませんよね?
3秒考えて意味が思い浮かばなければ、1時間考えても結果は同じです。
このように、Part5において「分からない問題に悩む」ことはTOEICにおいては最大の敵なのです。ですから、Part5においては分からないものは分からないと割り切り、どんどん次に進む感覚を大切にしてください。
先ほど「時間配分」の重要性についてお話しした際に、もしかすると「Part5を10分で解き切る」なんて絶対にできないと思われたかもしれません。
しかしこれは決して「10分ですべて正解する」という意味ではありません。より正確に言うのなら、「10分で正解するべき問題に正解する」ということです。
秘訣4. Part6を最短で切り抜ける方法
Part5を切り抜けて、次に待ち受けるのがPart6です。
Part7に最大限の時間を使うには、Part6もできるだけ効率的に解き進めたいところ。
ここからは、そんな「Part6をいかに効率よく切り抜けるかに」ついてお話します。
まずPart6の問題について少し整理しておきましょう。
Part6には全部で4つの文書が出題され、それぞれ4問ずつ問題があります。そしてそのなかで必ず1問は出題されるのが「文挿入問題」です。
他の問題とは違い、単語やフレーズなどではなく、文をまるまる挿入するタイプの問題で、多くのTOEIC受験者がこの問題に苦戦します。
Part6を攻略するポイントは、この「文挿入問題」にどう対応するかです。
これは皆さんの目標スコアにもよりますが、例えばTOEIC600点を狙っているとしたら、この文挿入問題には一切取り組まないというのも戦略です。
もし皆さんが模試に取り組んでみて、正答率が1/4〜1/3程度であれば、適当にマークを塗ってしまうのが得策です(適当にマークしても確率的には1/4の正答率になるため)。
ですが、この文挿入を得点源にしたい場合は話は別です。
この問題を正解する力を持っている人にとっては、しっかり取り組む価値がある問題だからです。その場合は、空欄の前後の1文ずつに集中して解答の根拠を探すようにしてください。
ちなみに、このタイプの問題は特にthisやitなどの指示語がヒントになることが多くあります。
例えばTOEIC公式問題集9には、”Items are kept at Lost and Found for 90 days.” という本文の直後の英文を選ぶ問題で “After this time, most items are donated to local charities” という選択肢が答えになるものがあります。
この場合は、選択肢の “this time” に相当するものが本文の “90 days” にあたるため、これが正解の根拠になります。
このようにキーワードに注目をして解き進めるのも、リーディング時間短縮に繋がるので是非意識してみてください。
秘訣5. Part7で確実に正解数を稼ぐコツ
ここまで、Part5とPart6の対策について解説してきましたが、最後の難関がPart7です。このPart7でできる限りスコアを稼ぐポイントは、Part7の問題タイプを熟知することです。
一口にPart7と言っても、その問題タイプは多岐に渡ります。
Part7では全部で54問の問題が出題されますが、そのなかには本文を部分的に読めばすぐに解ける簡単なものもあれば、文章全体をじっくり読まないと解けない難易度の高い問題もあります。要は簡単な問題と難しい問題が混在しているということです。
そして当然のことながら、限られた時間でTOEICで最大限のスコアを取るには、
難しい問題に時間をかけすぎず、簡単な問題には確実に正解していくことがカギ
となります。
ここからは具体的に、何が簡単な問題で何が難しい問題なのか、詳しく説明していきます。
Part7で確実に正解したい問題タイプ
まず確実に正解しておきたい問題タイプは2つです。
1. 単語の意味を問う問題
1つ目は、単語の意味を問う問題です。
「The word XXXX in paragraph XX, line XX, is closest in meaning to」
といった風に出題されます。
このタイプの問題は、少し読めば解ける場合がほとんどなので、絶対に落としたくないところです。試験終了間際になって、まだ最後の問題にまで目を通せていない場合は、このタイプの問題が最後に隠れていないか必ずチェックしましょう。
2. ピンポイントの情報を聞く問題
2つ目は、ピンポイントの情報を聞く問題です。具体例としては、
「When can a customer get XXXX?」
のような問題があります。こういった問題は、本文中の1文を根拠に正解できることもあるため、優先的に取り組むことでスコアを上げることができます。
Part7で優先順位の低い問題タイプ
一方で、TOEICのリーディングにおいて解答すべき優先順位の低い問題も2つあります。
1. NOT問題
いわゆる「NOT問題」と呼ばれるタイプで、実際の試験では
「What is NOT mentioned…」
といった問題になります。
この問題は、本文中に書かれている3つのことを見つけて、書かれていない1つの選択肢を選ぶ必要があるため、他の問題と比べて時間がかかります。
特に選択肢が長い文章である場合には、難易度がかなり高くなるため、時間がない場合は無理に取り組まなくても大丈夫です。
2. What is implied / suggested / indicated… などで始まる問題
次に下記のような、特定の文言で始まる問題も優先順位が低いです。
What is implied / suggested / indicated… など
これらは、本文の内容と選択肢の内容を一つずつ照合しなければいけないタイプの問題です。
ですので、もし皆さんがTOEIC600点くらいを目指していて、どうしてもすべての問題に取り組むのが難しい場合、これらの問題の優先順位を下げるのも戦略と言えます。
このように、Part7のなかでもいろいろな難易度の問題があるので、時間をかけて解くべき問題をしっかり取捨選択をすることで、効率よく解き進めることができます。
秘訣6. そもそもTOEICに速読は必要ない
そして最後に、TOEICのリーディングで時間が足りないと感じている皆さんにお伝えしたいことがあります。それは、
TOEICにおいて速読は必要ない
ということです。
しかし、TOEICのリーディングが解き終わらないことに悩んでいる方の多くは「速読」が必要だと考えていらっしゃいます。実際に、私も生徒さんから「速読をするにはどうしたらいいですか?」といった内容のご質問をとても多くいただきます。
では、TOEICにおいて求められるリーディング速度はどれくらいなのでしょうか。
TOEICの公式テキストである『公式TOEIC Listening & Reading Part 7 速読演習』によると、毎分150語くらいのスピードで読むことができれば、十分にTOEICのリーディングは解き終わるそうです。
ネイティブの一般的な読解スピードが毎分300語程度だということを考えると、決して無謀な速さではないことが分かるはずです。
実際に私の経験からしても、TOEICの問題を解くときに、特に速く読もうと意識することはありません。むしろ、一つひとつの英文を頭のなかで音読しながら、丁寧に読んでいっている感覚ですが、それでも十分に最後まで解き終えることができます。
ですので、もし皆さんがTOEICのリーディングを最後まで解き切るには、速読力が必要だと考えているとしたら、まずはその思い込みを断ち切りましょう。
無理に実力以上のスピードで読もうとすると、理解度が落ちてしまい、結果的に何度も繰り返し読むことになり時間をロスすることになりかねません。
TOEICで必要とされる本当の読解スピードを知り、無理のない速度でリーディングに取り組むことが、リーディング問題を最後まで解き切るカギとなります。
まとめ
今回は、TOEICのリーディングで時間が足りないと悩む方に向けて、TOEICのリーディングで最大限のスコアを獲得するテクニックを紹介しました。
一般的には、TOEICでスコアを取るには問題をすべて解き切る必要があったり、速読ができなければいけないと思われがちですが、実際には問題はすべて解けなくても大丈夫ですし、特別な速読力も必要ありません。
また現在の英語力を大幅にアップさせずとも、パートごとの時間配分や戦略を見直すことで、「自分が解くべき問題」により時間をしっかりと使えるようになるはずです。
ぜひ皆さんも、今回紹介したコツを意識して、TOEICでのスコアアップを達成してみてください!