TOEIC900点は転職に有利？社会人が取得する4つのメリット

2023年12月12日

阿武夏織

転職時に英語力をアピールする材料として、TOEICを学習している方は多いはずです。

現在TOEIC800点台の方のなかには、「800点で十分？もっと上のスコアを目指すべき？」と疑問に思っている方もいるでしょう。また、既に900点を獲得している方のなかには

「今のスコアでどの程度転職が有利になるの？」
「どんな仕事ならTOEICスコアが評価されるの？」

と思っている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、TOEIC900点を持っていることが転職で有利に働くかどうかや、TOEIC900点の価値や期待値、転職におけるメリット、900点台を取得するための勉強法について解説します。

今以上のスコアを目指してTOEICを勉強すべきか迷っている方や、獲得したTOEICスコアを活かせる仕事を探している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

阿武夏織

TOEIC930点、英検1級取得。外資系企業、日系企業での海外営業勤務を経たのち渡米し、アトランタでNBAダンサーとして活動。ライターとしてさまざまな英語学習サイトで学習方法に関する記事をはじめ、海外文化・海外旅行についての記事などを執筆中。

この記事を監修した人

セレン

留学経験、海外経験ゼロから31歳で英語学習を独学で開始しTOEIC LR満点、TOEICスピーキング満点、英検1級を取得。日本最大手IT企業にてTOEIC研修＆英語学習カウンセリングを6年間担当。英語事業コンサルティング、高校生英語指導も行う。「英語のあたらしい読みかた」著者。

TOEIC900点は転職で有利になる

結論からいえば、TOEIC900点は転職でかなり有利に働きます。

「TOEICは転職に有利に働かない」との声もありますが、履歴書にTOEIC900点以上のスコアを書いていれば、相応の英語力を持っていることを証明することが可能です。

実際に英語を使いこなせるかどうかは面接などを通して見極められますが、まず書類の時点で英語力を証明するにはTOEIC900点は非常に有利に働くでしょう。一定以上のTOEICスコアを求めている企業にも応募できるようになるため、これまで挑戦できなかった企業や職種にも挑戦できるようになります。

また、TOEICは英語資格として国内においては広く認知されており、企業の採用担当者もTOEIC900点以上を取得する難易度について理解しています。

TOEIC900点を取得していれば、スコア獲得のために努力した証明にもなり、英語力以外の部分でも評価される可能性が高いでしょう。

TOEIC900点の価値と期待値

TOEICを実施している一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会が発表した「DATA & ANALYSIS 2022」によると、2021年度にTOEIC公開テストを受験したのは900,684人でした。

そのうち895点以上を取得したのは37,974人で、全体のわずか4.2%です。この低い割合から見ても、TOEIC900点以上を取得することは非常に難易度が高く、高い英語力を持つ証明になることが分かります。

同じく一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会が公開した「英語活用実態調査」によると、調査対象となった企業の82.6%が「今後のビジネスパーソンにとって重要な知識やスキル」として英語を挙げました。TOEICを要件・参考にしていると答えた企業が求める中途採用でのTOEICスコアの平均は620点です。

ただ、英語へのニーズが高い一方で、「社員や職員に不足している・今後強化する必要がある知識やスキル」では67.0％の企業が英語を挙げています。英語が使える人材への需要は高いにもかかわらず、人材が不足している今、多くの企業が中途採用で求めるスコアを300点近く上回るTOEIC900点取得者には、大きな期待が寄せられると考えられるでしょう。

TOEICのPROFICIENCY SCALEによると、TOEIC860点以上はレベルAに該当し「Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる」とされています。ネイティブスピーカーには及ばないものの、ネイティブとの会議や交渉、プレゼンなどでも問題なく英語が使いこなせるレベルです。

一概には比較できませんが、外国人の言語習熟度レベルを表すCEFR（ヨーロッパ言語共通参照枠）では、TOEICのリスニング490点以上・リーディング455点以上でC1レベルに該当します。

C1は流暢でナチュラルな英語表現ができ、業務上でも英語を効果的に使えるレベルとされていますから、TOEIC900点を取得していれば、企業からもネイティブに引けを取らない高い英語力が期待されると考えられるでしょう。

TOEICが活きる国内転職市場

従来、大企業や海外企業との取引がある企業を中心に英語力が求められてきました。ただ、近年はグローバル化やインターネットの普及による世界の縮小化で、中小企業でも英語を使う仕事が増えています。

さまざまな業界・企業でTOEICを活かせますが、なかでもTOEICのハイスコアが重宝される職種・業界を紹介します。

ITエンジニア

ITエンジニアは高度な専門知識が必要となる仕事ですが、それに加えて高い英語力があると評価される傾向にあります。

プログラミング言語は英語で作られていますし、英語が理解できていれば海外の最新技術をいち早く理解できるため、TOEICで身につけた英語力を存分に活かすことができるでしょう。

中規模のメーカー

大手企業は学歴が高く、英語力が高い人材を多く確保している傾向にありますが、海外との接点を持つ中規模のメーカーは、英語へのニーズはあるものの人材不足に陥っていることも多いです。

中規模のメーカーなら、TOEIC900点が大手企業以上に高く評価され、即戦力として海外出張や海外赴任で活躍できる可能性があります。

TOEIC900点台が転職で得られるメリット4つ

TOEIC900点台を取得した人が転職で得られるメリットを4つ紹介します。

年収がアップする可能性がある

TOEIC900点を取得すれば、今よりも年収がアップする可能性があります。

求人情報・転職サイトdodaが発表した「平均年収ランキング 2022」によると、TOEIC800点台の人の平均年収が487万円なのに対し、900点台の人は534万円となっており、50万円近く年収が高いことがわかります。

英語力のある人材への需要が高い今、企業は「より良い待遇で人材を確保したい」と考えていますから、同じ職種でもTOEICスコアが高いか低いかで年収に差が生まれることもあるでしょう。企業によっては、一定以上のスコアを獲得している社員に対して、資格手当を支給しているところもあるため、年収アップの可能性は高いです。

仕事の幅が広がる

企業や職種によっては、TOEIC900点を採用の要件や参考としているケースもあります。TOEIC900点台を取得すれば、これまで挑戦できなかったポジションに挑戦できるようになるため、仕事の幅は大きく広がるでしょう。

転職エージェントを活用して転職を目指す場合も、より高待遇で条件のいい求人を紹介してもらえるかもしれません。また、転職後も実践で活かせる英語力が認められれば、任せてもらえる仕事の幅が広がっていくはずです。

海外で活躍するチャンスが得られる

海外出張や海外赴任をするうえで、ネイティブと同等にやり取りできる英語力は必要不可欠です。

TOEIC900点台をアピールして転職すれば、海外出張や海外赴任の候補者として採用されるかもしれません。

入社後に社内公募が行われる場合でも、900点台をアピール材料にすれば、世界を股にかけて活躍するチャンスを得られる可能性が高いでしょう。

英語力以外の部分も評価される

冒頭でもお話ししましたが、企業の採用担当者はTOEIC900点台を取得する難しさを理解しています。そのため、TOEIC900点台を取得していれば、取得までの努力や継続力など、英語力以外の部分も評価されやすいです。

自分の強みを聞かれたときに「目標達成に向けて努力できる」という自己アピールにもなります。結果が伴っているので、説得力のある自己アピールで採用担当者に印象付けることができるはずです。

TOEIC900点台を持つ20・30・40代が転職で期待できること

同じTOEIC900点台を取得している人でも、年代によって転職で期待できることが変わってきます。

TOEIC900点台を持つ20・30・40代が転職時に期待できることを、それぞれ見ていきましょう。

20代で転職する場合

20代での転職は、将来に可能性を感じられる人材が求められることが多いです。

20代でTOEIC900点を取得していれば、転職の時点で業務に関する知識やスキルが不足していたとしても「将来英語力を活かして活躍してくれそうだ」と評価される可能性が高いでしょう。

TOEIC学習で得た英語力を使い、どのように仕事をしたいかというビジョンを明確にしておくことも大切です。

30代で転職する場合

30代での転職は、即戦力としての力を求められることが多いです。

英語を日常的に使用するポジションや、海外出張・海外赴任を行うポジションの場合、TOEIC900点台を取得していれば「すぐに活躍できる人材」として重宝されます。

即戦力として活躍できるように、英語力にプラスして業務に関する知識やスキルを身につけておくといいでしょう。

40代で転職する場合

40代の転職も即戦力としての力は求められますが、管理職として採用されるケースも増えてきます。「英語活用実態調査」では、課長への昇進・昇格でTOEICスコアを要件・参考としていると回答した企業が32%、部長の場合は23.8％となっています。

課長の場合に求められるTOEICの平均スコアは530、部長の場合で565ですから、それを大きく上回る900点台を取得していれば、評価される可能性は高いです。

英語力とあわせてマネジメント力やマネジメント経験を身につけておくと、転職がさらに有利になるでしょう。

TOEIC900点台を取得するための勉強方法

オックスフォード大学出版が示した「A Teacher’s Guide to TOEIC Listening and Reading Test Preparing Your Students for Success」によると、TOEIC850点の人が950点を取得するには、325時間の学習時間が必要だとされています。

ただしこれはあくまで目安なので、実際はそれ以上の時間がかかることを想定しておくべきです。忙しい社会人は時間を確保するのが大変ですから、できる限り効率良く勉強してTOEIC900点台取得を目指しましょう。

リスニングとリーディングに分けて、おすすめの勉強方法を紹介します。

TOEIC900点を取得するためのリスニング勉強法

まずはリスニングの勉強法から紹介します。

隙間時間でニュース音声を聞く

通勤中などの隙間時間を使って、英語ニュースを聞く習慣をつけましょう。

TOEICで900点台を目指すには、経済や日常などに関する語彙を十分に身につけておく必要があります。

などを使ってリスニング力を高めましょう。ニュース音声ではありませんが、ビジネス英語力を高める教材として「TED Talks」もおすすめです。

ディクテーションをする

ディクテーションは、英語音声を聴きながら一字一句正確に書き起こす勉強法です。

先ほど紹介したニュース音声が聞けるサイトや「TED Talks」にはスクリプトがあるので、ディクテーションにも最適です。

書き取りをしながら複数回音声を聞き、最終的に答え合わせをしてどこが聞き取れなかったのか、どうして聞き取れなかったのかを分析することで、リスニング力を高められます。聞き取れなかった部分を推測する作業も必要になるため、アウトプット学習にもつながる効率的な方法です。

TOEIC900点を取得するためのリーディング勉強法

次にリーディングの勉強法を紹介します。

ニュースなどの記事を読む

リスニング勉強法でもニュース音声をおすすめしましたが、リーディング対策にもニュースを活用しましょう。

TOEICで900点台を取るためには、Part7の長文問題をスピーディーに読み、時間内に回答できるようになる必要があります。日々ニュースなどの記事に触れて多読をしておけば、長文を読むスピードも速くなりますし、読解力もアップするでしょう。わからない単語は自分で単語帳にまとめておくと、語彙強化の勉強にも活用できます。