スラッシュリーディングとは?やり方からトレーニングにおすすめな英語教材を解説

こんにちは。TOEIC満点講師/Garibenコーチの上田哲也です。

TOEICの勉強をしている方のなかには、

「読むスピードがなかなかアップしない」

「TOEICのPart 7が最後まで解ききれない」

といった悩みを持つ方が多くいらっしゃいます。

リーディング力が上がらない原因は人それぞれではありますが、多くの場合において

「英語を英語のまま理解していない」
「英語を後ろから訳している」

といったことが考えられます。

そういったリーディングの根本的な問題を解決するのに有効なのが「スラッシュリーディング」です。

今回は、そもそもスラッシュリーディングとは何なのか、そしてスラッシュリーディングの効果や具体的なやり方、おすすめの教材などを紹介します。

これからTOEICのスコアアップのためにリーディング力を上げていきたいという方は、ぜひ最後までこの記事を読んでみてください!

今なら無料カウンセリング受付中です。この機会に『TOEIC満点コーチ』に英語学習における悩みをぶつけて、解消しましょう!

この記事を書いた人

上田 哲也

上田 哲也

バンクーバー留学、鉄鋼商社勤務を経て、現在は英語講師として企業研修などを担当。著書に『時短省力 私の英語勉強法』がある。TOEIC990点 / 英検1級 / IELTS8.0 / 国連英検特A級

この記事を監修した人

セレン

セレン

留学経験、海外経験ゼロから31歳で英語学習を独学で開始しTOEIC LR満点、TOEICスピーキング満点、英検1級を取得。日本最大手IT企業にてTOEIC研修&英語学習カウンセリングを6年間担当。英語事業コンサルティング、高校生英語指導も行う。「英語のあたらしい読みかた」著者。

目次

スラッシュリーディングとは?

スラッシュリーディングとは、英文の意味の区切りごとにスラッシュを入れながら読み進める学習法です。

All clothing / sold in Develyn’s Boutique / is made from natural materials / and contains no synthetic dyes.

引用:https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/about/format/sample05.html

一般的にスラッシュは、

  • カンマ
  • 前置詞
  • 接続詞

の前などに入れます(詳しいスラッシュの引き方については後ほど詳しく解説します)。そうすることで、どんな長文であっても小さなかたまりに分けることができ、読解がしやすくなるのです。

しかし、TOEIC学習者の方にスラッシュリーディングの重要性をお伝えすると「TOEICの試験本番では、問題用紙に書き込むことは禁止されているから意味がないのでは?」という質問をいただくことがあります。

たしかに、TOEIC本番ではスラッシュリーディングはできません。

ですが、日頃からスラッシュを入れながら読んでいると、スラッシュを書き込まなくても、意味の切れ目を意識しながら英語を理解できるようになります。そのため、スラッシュリーディングを実践することでスコアアップが期待できます。

スラッシュリーディングの効果と注意点

ここからは、スラッシュリーディングを実際に行うとどのような効果があるのか、またスラッシュリーディングにおける注意点について紹介します。

スラッシュリーディングの3つの効果

まずはスラッシュリーディングの3つの効果について見ていきます。

英語の語順で理解できる

スラッシュリーディングを行うことで、英語を英語の語順のまま理解できるようになります。

日本語と英語の語順は全く異なるため、英語を後ろから読み、日本語の語順で理解しようとしてしまう英語学習者の方は少なくありません。

しかしスラッシュリーディングでは、英文にスラッシュを入れながら、前から順番に読んでいくため、実質的に返り読みができなくなります。

例えば、下記の英文を見てみてください。このように英語を前から順番に理解していく訓練を積むことで、英語を英語のまま理解できるようになるのです。

All clothing / sold in Develyn’s Boutique / is made from natural materials / and contains no synthetic dyes.

すべての洋服 / Develyn’s Boutique で売られている / 自然素材で作られている / 合成染料が含まれていない

引用:https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/about/format/sample05.html

どこで躓いているかが一目瞭然になる

スラッシュリーディングをすることで、英文のどこが読めていないかを明らかにできます。

通常のリーディングでは、仮に英文をしっかり理解できなかったとしても「何だか理解度が低い」くらいにしか感じることができません。

一方でスラッシュリーディングでは、どんなに長い英文もチャンク(意味のかたまり)に区切りながら理解していきます。

そうすることで、どの単語の理解が曖昧だったのか、またどの構文がとれていなかったのかなど、英文のどの箇所で躓いているかが明確になり、リーディングの理解度を上げるための具体的な対策を講じることができます。

英語を読むスピードが上がる

スラッシュリーディングを継続的に実践すると、英語を読むスピードがアップします。

英語を英語の語順のまま理解し、読めていない箇所を特定して克服できれば、結果的に読解スピードが上がる

という訳です。

ちなみに、TOEICのよくある悩みに「リーディングが最後まで解ききれない」というものがありますが、すべての問題に解答するには、1分間に150語くらいの英文を処理する力が必要だと言われています。

これを実践できるようにするためにも、ぜひみなさんもスラッシュリーディングを通して、最終的には150語/分の速さで読解できることを目指してみてください。(ちなみに、この1分間で何単語のスピードで読めるかを表す指標をWPMと言います。)

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スラッシュリーディングの注意点2つ

スラッシュリーディングにはさまざまなメリットがある一方で、注意しておきたいポイントが2つあります。

必要以上にスラッシュを入れない

まずは、スラッシュを入れすぎないということです。

「スラッシュを入れるのがスラッシュリーディングの目的では?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、スラッシュを入れるのは、あくまで英文を正しく理解するための手段です。

そのため、英文がスムーズに読めているのであれば、無理にスラッシュを入れる必要はありません。

場合によっては、英文にひとつもスラッシュを入れないということも十分にあり得ますので、スラッシュがないからといって不安にならなくても大丈夫です。

スラッシュを入れる場所にこだわりすぎない

またスラッシュをどこに入れるかに迷ってしまい、学習が進まなくなってしまうのも要注意です。

スラッシュリーディングにおいて、スラッシュを入れる位置の目安はありますが、どこにスラッシュを入れるのが正解かという明確な線引きはありません。

そのため、まずは意味の切れ目を意識して、細かいことは気にしすぎずスラッシュを引いてみてください。

スラッシュ少なめの場合:All clothing sold in Develyn’s Boutique / is made from natural materials / and contains no synthetic dyes.

スラッシュ多めの場合:All clothing / sold / in Develyn’s Boutique / is made / from natural materials / and contains no synthetic dyes.

引用:https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/about/format/sample05.html

スラッシュを入れるポイントについては、この記事の後半で丁寧に解説しますので、そちらもあわせてご参照ください。

スラッシュリーディングをする前に必要な知識

スラッシュリーディングはどんなレベルの学習者の方でも実践できる学習法ですが、できればあらかじめ知っておいた方がいい知識もあります。

文法(品詞)

まずは中学校で学ぶレベルの文法です。

スラッシュリーディングの具体的なやり方については後述の通りですが、どこにスラッシュを入れるかを判断する際には、

  • 前置詞
  • 接続詞
  • 主語

などの文法用語が出てきます。

またスラッシュを入れて英文を分割していく訳ですが、それぞれのかたまりが何を修飾しているのか(あるいは何に修飾されているのか)を判断するためにも、基本的な文法知識が必要になります。

そのため、まずは中学校英語で学ぶ英文法の復習をしておくことをおすすめします。

語彙

次に基本的な英単語です。こちらも文法と同じ理由でスラッシュリーディングをする前に(あるいは同時並行で)準備しておいてください。

例えば representative(担当者)という単語はTOEICでは一般的に名詞として使われますが、この単語を知らなければ単語の響きから形容詞と誤解してしまうかもしれません。

そのため、品詞の理解を正しくし、効果的にスラッシュリーディングを行うためにも、TOEICの単語帳を1冊用意して、ご自身の目標スコアに必要な語彙をあらかじめ習得しておけるとベストです。

スラッシュリーディングのやり方

ここからはスラッシュリーディングの具体的なやり方について、少し長めの例文を使いながら解説します。

「スラッシュを入れる」ということ以外に決まったやり方があるわけではありませんが、ひとつのやり方としてご参考になさってください。

今回はTOEIC公式サイトにある、サンプル問題を引用して解説していきます。

Submissions are now being accepted at the Mooringtown Library front desk. Please have the actual notice, in the format in which you would like it to appear, with you when you arrive. Within one business day, you will receive a call confirming that your notice has been added to the board.

引用:https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/about/format/sample07_02.html

ステップ1. スラッシュを入れる

まずやるべきは、スラッシュを入れていく作業です。一般的には次のような箇所を目安にスラッシュで区切っていきます。

  • カンマ
  • 接続詞
  • 関係詞
  • that節
  • 前置詞
  • 分詞
  • 不定詞
  • 長い主語

Submissions are now being accepted / at the Mooringtown Library front desk. Please have the actual notice, / in the format / in which you would like it to appear, / with you / when you arrive. Within one business day, / you will receive a call / confirming / that your notice has been added / to the board.

引用:https://www.iibc-global.org/toeic/test/lr/about/format/sample07_02.html

こちらの例を見てみると、前置詞の “at” や “in” の前、また関係詞の “in which” の前などで区切られていることが分かります。

先ほど紹介した基準に当てはまる箇所すべてにスラッシュを入れるという訳ではなく、理解をスムーズにするのに必要であればスラッシュを入れていくイメージです。

ステップ2. ざっくり和訳をする

次にスラッシュで区切ったかたまりを、チャンクごとに日本語に訳していきます。

Please have the actual notice, / in the format / in which you would like it to appear, / with you / when you arrive.

先ほどのこちらの英文であれば「実際の掲示物をお持ちください / フォーマットで / あなたが掲示したい / あなたと一緒に / あなたが到着するとき」といったイメージです。

英文和訳は意味がないと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、このような和訳のプロセスを経ることで、自分が本当に英語を理解できているかを確認できます。

英語を理解できていれば、日本語にすることもできるはずですし、もし日本語にできないとしたら英語を正確に理解できていない可能性があるわけです。

また、一文をまるごと訳す一般的な和訳では、英語を後ろから訳出する必要が出てくるため、不自然な読み方になってしまうことがあります。

しかし、スラッシュで区切ったチャングごとに訳すのであれば、英語を英語の語順のまま理解することができます。

ステップ3. 音読をする

最後に、チャンクごとに区切った英文を音読してみましょう。

その際には必ず、スラッシュで区切った意味のかたまりを意識しながら声に出すようにしてください。そうすることで、英語をかたまりごとに理解する力を鍛えることができます。

また副次的な効果として、スピーキング力のアップも期待できます。これは、チャンクごとにまとめて発話をすることで、より英語らしいリズムで発話できるようになり、聞き手にとってとても理解しやすい英語になるためです。

スラッシュリーディング練習で心得ておくべきコツ

ここからは、スラッシュリーディングをおこなう際に、意識しておきたいコツを3つお伝えしていきます。

コツ1. スラッシュは読みやすくするための手段

スラッシュを入れることは「目的」ではなく、英語を読みやすくするための「手段」です。

そのため、スラッシュがなくても読める英文であれば、無理してスラッシュを入れる必要はありません。

あくまで、スラッシュが理解の補助として必要であれば、スラッシュを入れていくスタンスで学習を進めていってください。

コツ2. スラッシュはだんだん少なくする

スラッシュリーディングはとても有効な学習方法ではありますが、スラッシュの数はどんどん少なくしていきましょう。

最終的にはスラッシュの数がゼロであっても、スラスラと英文が読めるようになることが目標です

スラッシュがなくても、意味のかたまりを意識して読めるようになった頃には、TOEICのリーディングでもハイスコアが取れるようになっているはずです。

コツ3. きれいな和訳でなくても大丈夫

スラッシュリーディングでは、英文理解の確認をするために区切った英文ごとに和訳をすることがありますが、英文を和訳する目的は、きれいな翻訳をすることではありません。

厳密な訳語を探すことでかえって英語学習の効率を下げてしまうこともあるのでご注意ください。

先ほどの例で言えば、”appear” を厳密に直訳するのはかなり難しいかと思います。辞書を引いてみると “appear” には「載る」などさまざまな訳語がありますし、”you would like it to appear” を無理に直訳しようとすると「あなたがそれ(掲示物)に載ってほしい…」のように不自然な日本語になってしまうことがあります。

そのため、スラッシュリーディングでは、意味の理解を確認することを目的として、和訳の正確さにこだわりすぎないのがポイントです。

スラッシュリーディングにおすすめの教材

最後に、スラッシュリーディングで是非使っていただきたい教材を3つ紹介します。

TOEIC公式問題集(標準)

まず活用したいのが『TOEIC公式問題集』です。

「スラッシュリーディング用に特別な教材を用意した方がいいのでは?」と思われるかもしれませんが、スラッシュリーディングは英文さえあればどんなテキストでも実践できます。

そのため、まずは本番に最も近い内容の公式問題集を使ってみることをおすすめします。

まずは短文でスラッシュリーディングの練習をしたいという方はPart5から、長文でどんどん量をこなしたい方はPart6やPart7の問題にチャレンジしてみてください。

TOEICの本番2回分の模試が収録されていますので、TOEIC公式問題集だけでもかなりの演習量になるはずです。

TOEIC® L&Rテスト正攻法で攻めるパート7読解問題(中級者)

もし公式問題集だけで足りない場合は、こちらの『TOEIC® L&Rテスト正攻法で攻めるパート7読解問題』にも挑戦してみてください。

こちらはPart7に特化した問題集であるだけでなく、解説ページでは英文にスラッシュが入っているのが特徴です。また重要な文法項目も、スラッシュリーディングを通して学ぶことができます。

スラッシュリーディングのやり方を学びながら、演習量を十分に確保したい方にはおすすめの一冊です。

レシピー(初中級者)

もし自分でスラッシュを引くのにまだ慣れないという方は、英語学習アプリの『レシピー』を使ってみることをおすすめします。

アプリをダウンロードしたら、設定画面からスラッシュリーディングを行う設定ができます。

スラッシュを多めに入れたい方は「レベル2」の設定、スラッシュを少なめでも大丈夫という方は「レベル1」の設定にしてください。

レベルの高い記事も多くあるため、読みやすい記事を探したい方は「日本語訳のある記事」から「やさしい」と書かれたタブをタップしてみると良いかもしれません。

また有料版にはなりますが、「ラダーシリーズ」であれば学習者向けに語彙レベルが調整されたコンテンツを読むことができるので、こちらもおすすめです。無料でトライアルができるので、興味がある方はぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。

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  • 料金:基本無料
  • URL:iOS / Android

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回はスラッシュリーディングの具体的なやり方や、おすすめの参考書などについて解説してきました。

スラッシュリーディングをすることで、英文を速く正確に読めるようになり、結果的にTOEICのリーディングでもより高いスコアを目指せるようになりますので、ぜひ皆さんも実践してみてください。

この記事が皆さんのTOEICのスコアアップに少しでもお役に立てたら嬉しいです!

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