TOEICの学習をしている人のなかには
将来は満点を取りたい!
と高いモチベーションで学習している人も多いのではないでしょうか。
TOEICの満点に当たる990点は、ネイティブでも気を抜くと逃してしまうスコアでもあります。TOEICの満点はどれくらいの難易度で、どの程度勉強すれば目指せるものなのでしょうか。
本記事では、TOEICで満点を目指している人のために、TOEICの満点の難易度や凄さ、満点を取るために必要な勉強時間の目安、勉強方法、おすすめの学習教材などを紹介します。
TOEICで満点を取得できれば、就職や転職の履歴書で高い英語力をアピールしやすいです。本記事を参考にして満点取得までの計画を立て、効率よく学習していきましょう。
この記事を書いた人
阿武 夏織
TOEIC930点、英検1級取得。外資系企業、日系企業での海外営業勤務を経たのち渡米し、アトランタでNBAダンサーとして活動。ライターとしてさまざまな英語学習サイトで学習方法に関する記事をはじめ、海外文化・海外旅行についての記事などを執筆中。
この記事を監修した人
セレン
留学経験、海外経験ゼロから31歳で英語学習を独学で開始しTOEIC LR満点、TOEICスピーキング満点、英検1級を取得。日本最大手IT企業にてTOEIC研修&英語学習カウンセリングを6年間担当。英語事業コンサルティング、高校生英語指導も行う。「英語のあたらしい読みかた」著者。
TOEIC満点の難易度・すごさは?
TOEIC満点というと、詳しいことは分からなくてもなんとなく「すごい」と感じるのではないでしょうか。
まずは、満点の難易度とすごさを解説していきます。
TOEICの満点は990点
TOEICの満点は
リスニングセクション:495点
リーディングセクション:495点
の合計990点です。
TOEICは合否判定ではなくスコアで結果が表示されるのはご存知かと思いますが、スコアは5点刻みとなっています。ちなみに、最低スコアはリスニングセクションが5点、リーディングセクションが5点の10点です。
TOEIC満点を取れる受験者割合
TOEICを受験する人のうち、どれくらいの受験者が満点を取れるか気になっている方もいるでしょう。
ただ、日本でTOEICを実施している国際ビジネスコミュニケーション協会は、満点取得者に関する公式なデータは公表していません。一般的に、TOEICで満点を取れるのは、全受験者のうち0.3%ほどだと言われています。
ちなみに、国際ビジネスコミュニケーション協会が公開している「TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2023」によると、2022年度にTOEIC公開テストを受験した人は784,310人でした。そのうち895点以上を取得した人は33,024人で全体の4.2%です。
895点以上を取得した人の割合もかなり低いですから、このデータを見ても、満点を取得した人の割合はより低いことが予想できます。ちなみに、グループ英語コーチングを行っているGaribenのコーチは、全員満点を取得しています。
全問正解する必要はない
実は、TOEICで満点を取るために、全問正解する必要はありません。
TOEICは
リスニングセクション:100問
リーディングセクション:100問
計200問
で構成されています。
「問題は全部で200問あるのに、満点が990点なのは中途半端では?」と感じる人もいるのではないでしょうか。また、最低点は10点ですが「一問も正解しなくても10点なの?」と疑問に思う人もいるでしょう。
採点方法の詳細は公開されていませんが、TOEICは複雑な統計を使って偏差値換算でスコアを計算していて、一般的な一問◯点という加点方法ではありません。
ややこしい仕組みに感じてしまいますが、試験の実施回によって異なるテストの難易度に影響されることなく、公平なスコアを算出するために、この採点方法がとられています。
そのため、一問も正解できなかったとしても10点が取れますし、難易度によって全問正解が必要な回もあるため、毎回必ず全問正解する必要はないです。
TOEIC満点をほかの資格試験で換算すると?
英語資格は、TOEIC以外にも英検やIELTS、TOEFL iBTなどさまざまなものがあります。
試験の形式や内容が異なるため単純な比較はできませんが、外国語の習熟度を示す目安として世界的に用いられているCEFR(Common European Framework of Reference for Language)で、比較してみましょう。
CEFR | TOEIC L&R | 英検 | IELTS | TOEFL iBT |
---|---|---|---|---|
C2:最上級レベル | 該当なし | 該当なし | 8.5〜9.0 | 該当なし |
C1:上級レベル | 945〜 | 1級 | 7.0〜8.0 | 95〜120 |
B2:中上級レベル | 785〜 | 準1〜1級 | 5.5〜6.5 | 72〜94 |
TOEIC満点は、CEFRのC1:上級レベルに該当します。
C1は以下のような英語力です。
- さまざまな領域の難しい長文を理解でき、背景まで理解できる
- 表現方法に悩むことなく、流暢に自分の意見を伝えられる
- アカデミックやビジネスなど、目的に合わせた言葉を効果的に使い分けられる
- 文型や接続語への理解が深く、複雑なテーマでも正確で分かりやすい文章を作ることができる
また、取得のために必要な単語数で比較すると、
TOEICは約13,000単語以上
英検1級は約10,000~15,000語
と言われています。
もちろん上記の比較はあくまで目安なので、参考程度にとどめておきましょう。
TOEIC満点に必要な勉強時間
TOEIC満点を目指すために、どのくらいの勉強時間が必要になるかも気になるポイントではないでしょうか。
必要な勉強時間は人によって異なりますが、OXFORD UNIVERSITY PRESSが公表している「A Teacher’s Guide to TOEIC Listening and Reading Test Preparing Your Student for Success」をもとに、満点取得までに必要な勉強時間の目安を説明します。
今のスコア | 950点を取得するまでに必要な学習時間 |
---|---|
250点 | 1750時間 |
350点 | 1550時間 |
450点 | 1300時間 |
550点 | 1050時間 |
650点 | 825時間 |
750点 | 600時間 |
850点 | 325時間 |
満点取得に必要な時間ではなく、950点を取得するまでにかかる時間ですが、上記の学習時間が目安となっています。
例えば、現在850点取得している人が950点取得するのにかかるのは、325時間です。
100点アップに325時間が必要になるため、単純計算すれば10点アップに32.5時間かかります。950点から満点を目指すには、あと40点アップさせる必要があるので、130時間かかる計算です。そのため、800点の人が満点を取得するには、365時間の学習が必要な計算になります。
あくまで目安ですが、自分の今のスコアから、どの程度学習時間が必要かを割り出してみましょう。
TOEIC満点取得が難しい理由4つ
全受験者の0.3%しか取得できないと言われているTOEIC満点ですが、具体的にどうして取得するのが難しいのでしょうか。
TOEICの試験の特徴の面から、満点取得が難しい理由を分析してみました。
問題数が多く、集中力が必要
TOEICは
リスニングセクションが約45分・100問
リーディングセクションが75分・100問
です。合計約2時間で200問を解かなければなりません。
時間配分をしっかりしておかなければ、問題を解く時間が足りなくなってしまいますし、約2時間集中力を維持しながら、テストを受けるのは大変です。
終盤で時間が足りなくなったり、集中力が切れてしまったりすると、満点を取得するのが難しくなってしまいます。
細かい文法知識を問われる問題がある
TOEICの問題に引っかけ問題は普通によく出るので、素直な問題が多いですが、細かい文法知識を理解していないと解けないような問題もいくつか出題されます。
ネイティブでも気を抜くと満点を逃してしまう可能性はありますが、感覚的に英語を理解していると、細かい文法知識を問われる問題で正解に迷ってしまうことがあります。
細かい文法知識がなくても高得点は狙えますが、満点となると難しくなってしまうのです。
TOEICに特化した学習が必要
前述した通り、TOEICの満点はCEFRのC1に当たり、英検1級・IELTS 7.0〜8.0・TOEFL iBT 95〜120レベルに該当します。
しかし、TOEIC以外の英語資格でC1に該当するレベルに達していても、TOEICに特化した学習をしていなければ、満点を取得するのは難しいです。
ほかの英語資格と比べると出題パターンは少ないですが、TOEICで頻出の単語をカバーし、TOEIC独自の出題傾向や解答テクニックを理解しておかなければ、満点は取得できません。
TOEICのスコアが偏差値換算だから
TOEICの採点方式の詳細は公開されていませんが、全受験者の偏差値換算でスコアが割り出されます。ほかの英語資格と比べると出題パターンが少ないこともあり、TOEICの受験者は比較的対策をしっかり行っている傾向にあります。
そのため、満点を取得するには、ほかの受験者以上の時間を費やし、学習しなければなりません。
TOEIC満点達成のための勉強方法
TOEICで満点を達成するには、どのような勉強を行えばいいのでしょうか。満点取得のために押さえておきたい勉強方法を紹介します。
負荷をかけて本番形式の問題を解く
TOEICで満点を取得するために、通常の学習方法よりも負荷をかけて学習を行いましょう。
余裕を持ってすべての問題を解くために、実際の試験時間よりも短く時間を設定し、本番形式で問題を解くのがおすすめです。短い時間で問題を解くことに慣れておけば、本番で「時間が足りない」という事態に陥る心配がありません。
また、リスニングを1.2倍速で聞くことで、リスニングの際の集中力を鍛えられます。
1.2倍速に慣れておけば、実際のリスニング音声がゆっくり聞こえるので、本番で余裕を持って問題に取り組めるはずです。学習時間の短縮にもつながるため、効率的な学習ができます。
TOEICを超えた学習をする
TOEICで満点を取得するためには、TOEICで出題される問題以上の高度な英語も理解しておく必要があります。
TOEICに特化した対策も必要ですが、TOEIC以外の教材を使い、より難易度の高い英語に普段から触れておきましょう。
- 英字新聞
- 英語書籍
- TED Talks
- ポッドキャスト
などを活用するのがおすすめです。
TOEIC満点を目指すのにおすすめの教材【参考書・問題集・アプリ】
効率的にTOEIC満点を目指すなら、参考書・問題集・アプリなどの教材を活用するのがおすすめです。
最後に、TOEIC満点を目指す人におすすめの教材を紹介します。
参考書:TOEIC L & Rテスト 990点攻略 改訂版: 新形式問題対応
『TOEIC L & Rテスト 990点攻略 改訂版: 新形式問題対応』は、990点取得を目指す上級者向けの参考書です。
Part1〜7までを網羅し、ハイスコア取得者でも間違えやすい難しい問題や、見落としてしまいがちなポイントを厳選して解説しています。
自分で苦手な問題の傾向を見極められなくても、この参考書を使えば難問への理解を深められるはずです。各パートについているTrainingとPractice Testを解き、間違った部分は理解できるまで繰り返して学習しましょう。
問題集:TOEIC(R)テスト新形式精選模試リーディング2
『TOEIC(R)テスト新形式精選模試リーディング2』には、TOEIC満点を取得している講師陣が最新の出題傾向を踏まえたうえで厳選した質の高い問題が収録されています。
TOEIC受験者が間違えやすいミスや学習ポイントの解説、スコアアップにつながるアドバイスなども充実しているのが特徴です。
本書にはリーディング5回分にあたる500問が収録されており、すべての問題に正答率と解説が掲載されています。本番形式で繰り返し解き、間違った問題の解説を徹底的に理解して、苦手とする問題の完全克服を目指しましょう。
アプリ:abceed
『abceed』は利用者数300万人を突破した英語学習アプリです。
TOEICや英検のレベル診断テストがあり、テスト結果に応じて最適な問題集を提案してくれます。
無料版と有料版がありますが、有料版なら400冊以上の人気教材が使い放題です。また、AIがおすすめ問題を出題してくれるので、アプリを使うだけで苦手に特化した学習ができます。
AIが出題するおすすめ問題は1回3〜5分程度の内容なので、移動中や休憩中などの隙間時間を使って学習できます。発音トレーニングや映画やドラマを使った英語学習もできるため、TOEIC満点取得に加え、より実践的な英語力を身につけるためにも役立つでしょう。
「TOEIC満点」のみが目的にならないように注意
TOEIC満点を取得できれば、高い英語力を持っている証明となり、就職や転職が有利になる可能性があります。
しかし、TOEIC満点取得だけを目的にすると、スピーキングやライティングの学習が疎かになりやすく、TOEICの点数に比例する総合的な英語力が身につきづらいです。
実践で使える英語力を身につけるために、満点取得を目指しつつも、英語を学習する目的に合わせたそのほかの英語学習も取り入れて、総合的な英語力を高めましょう。
満点を目指す気持ちでTOEIC学習に取り組めば、満点に及ばなかったとしてもハイスコアが取得でき、英語力を武器に就職活動や転職活動に取り組めます。
まとめ
本記事では、TOEICの満点の難易度や凄さ、満点を取るために必要な勉強時間の目安、勉強方法、おすすめの学習教材などを紹介しました。
TOEICで満点を取るには、リスニング・リーディング力を強化したうえで、TOEICに特化した学習も行う必要があります。
満点取得を目指しているのなら、本番形式で繰り返し問題を解いてTOEICに慣れ、自分の苦手を徹底して学習し、完全に克服することを目指してみてください。
また、TOEIC満点取得だけを目的とするのではなく、スピーキング力やライティング力を高める学習も同時に取り入れ、ビジネスシーンや日常生活で使える英語を身につけましょう。