皆さんこんにちは!英語コーチ・TOEIC講師の星名亜紀です。専門学校の学生や社会人の方にTOEICレッスンや英語学習のサポートを行っています。
TOEIC学習を始めた多くの方が最初の目標として掲げるTOEIC600点!
就職や転職活動のために600点を目指している方は多いですよね。私が指導している生徒さんでも、客室乗務員を目指して英語学習をしている方が多く、募集要項に書かれている「TOEIC600点以上の英語力」を目指しています。
今回の記事では、500点台からなかなか600点の壁を越えられない方がどのような学習をどのくらいしたら良いのか、越えるべき壁と具体的な学習方法、マインドセットなどについてお伝えしていきたいと思います。
600点の壁を越えるべく頑張っている皆さん、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
この記事を書いた人
星名 亜紀
大学卒業後、客室乗務員として全日本空輸株式会社入社。その後外資系企業を経て、現在は英語講師として専門学校のエアライン科で指導をしたり、英語コーチとして活動。4カ国での留学経験あり(アメリカ、カナダ、オーストラリア、フランス)。TOEIC L&Rテスト990点。英検1級。
この記事を監修した人
セレン
留学経験、海外経験ゼロから31歳で英語学習を独学で開始しTOEIC LR満点、TOEICスピーキング満点、英検1級を取得。日本最大手IT企業にてTOEIC研修&英語学習カウンセリングを6年間担当。英語事業コンサルティング、高校生英語指導も行う。「英語のあたらしい読みかた」著者。
そもそもTOEIC600点はどんなレベル?
TOEIC600点のレベルは、出題形式や内容が異なるので一概には比べられませんが、一般的に英検2級くらいのレベルと言われています。
600点取得のためには難易度の高い語彙力や長文読解力、文法の知識が求められるかというとそんなこともなく、高校で学ぶ範囲の英語の基礎がしっかりとできていれば確実に目指すことのできるスコアです。
TOEICを運営している国際ビジネスコミュニケーション協会の発表によると、TOEIC L&R公開テストの平均点は600点を少し超えるくらい。
平均点くらいなら取れるかな?と思っても、そこには “600点の壁” が存在するので「とりあえず受けてみた」では取れません。
例えば、500点台の方は文法問題を解くときに「なんとなくこれが正解の気がする」と根拠なく正解を選んでいることが多いのに対し、600点を取れる方は基礎的な文法問題であれば正解の根拠が分かり、自信を持って解答できるようになってきます。
Part1の写真描写問題においても、500点台の方はまだしっかり聞き取るのが難しかったり知らない単語が出てくることが多いのですが、600点台の方は、完全に全ての英文を聞き取れなくても消去法を使って6問中4〜5問は正解できるようになってきます。
ちなみに、TOEIC受験者の平均点は600点くらいとお伝えしましたが、日本人全体の英語力はもっと低いものになります。そもそもTOEICを受ける、そのために勉強をするという意識の高い人たちの平均点なので、600点でも十分に価値あるスコアです。
そうなるとTOEIC600点というスコアは就職活動や昇進・昇給時にもアピールポイントとなりますし、実際に多くの大手企業、上場企業においても採用時に求められるスコアは600点以上であることが多いです。
なぜ600点を取れないのか?500点台からの壁でよくある悩みや原因
500点台から600点の壁をなかなか越えられない方は、このようなことでお悩みの方が多いのではないでしょうか。
TOEIC600の壁1. 文法の知識が曖昧
600点をなかなか越えられない方の壁となるのが英文法の基礎知識です。
Part5の文法問題を解くとき、「なぜその選択肢を選んだの?」と聞かれたら「う〜ん、なんとなく」となってしまっていませんか?
文法問題は、基本的な文法事項をしっかり押さえていれば解ける問題が多く出るので、曖昧な文法知識は整理しておきましょう。
実際にPart5の文法問題に挑戦してみましょう!
例えば、次の問題を皆さんはどのように解きますか?
No. 103 Gyeon Corporation’s continuing education policy states that —— learning new skills enhances creativity and focus.
(A) regular
(B) regularity
(C) regulate
(D) regularly
まず、(A)〜(D)の選択肢を見たときに、語尾だけが異なる4つのワードが並んでいるので、これは品詞の問題だと判断します。
次に、
(A) は形容詞で「いつもの」
(B) は名詞で「規則性」
(C) は動詞で「〜を規制する」
(D) は副詞で「定期的に」
と、各選択肢の品詞と意味をパッと頭に思い浮かべます。
同時に、品詞ごとの働き(例えば、形容詞は名詞を修飾するなど)がすぐに頭に思い浮かぶ状態にあるのが理想です。
そこまでできたら、前から文章を読んでみて、that以下が “learning new skills enhances creativity and focus”「新しいスキルを学ぶことは創造力と集中力を高める」と文章が完成している(足りない品詞がない!)と気付けたら、空欄に入るワードは、(D)副詞のregularlyと自信を持って答えられます。
今回、learningが動名詞だから、名詞を修飾するのは形容詞だなと思って(A)を選んでしまった皆さん。不正解ではありますが、そこまでたどり着けているということは品詞の知識が定着し始めている証拠です!その調子で頑張りましょう。
問題を解く時に、前からとりあえず読んで、「なんとなくこれかな〜」というものを選んでしまう!という方は、根拠を解説できるような確実な知識を身につけて行くことが必要です。
TOEIC600の壁2. 語彙力が十分でない
600点の壁を越えられないもう一つの理由が語彙力不足です。
「Part5の問題を解こうと思っても、そもそも選択肢の語彙が全然わからない!」
「長文を読もうと思っても知らない単語が出てきすぎて内容がまったく理解できない……」
そんな状況に陥っていませんか?
英文を読んでも単語の意味が全然わからなければ、思うようにスコアが取れないだけでなく、苦痛ですよね。スコアが伸びずに成長を感じられない上に、苦痛なことは続きません。
しかし、例え文法の知識が曖昧であっても、単語の意味がわかれば、知っている単語の意味から全体の意味を取れるようになってきます。
そのため、単語学習に取り組むことが遠回りのようで本当は目標スコアまでの最短ルートなのです。
長文を読んでいても一つの英文に何個も知らない単語ばかり出てきてうんざり……という状況の方は、まずは単語学習にみっちりと取り組むことをおすすめします。
TOEIC600の壁3. Part3&4の先読みができない
500点台の多くの方が苦戦しているのがPart3と4の設問の先読みです。
Part3、4はリスニングパートのある問題ですが、問題を読み、4つの解答の選択肢を正しく読まなくては答えられないため、リーディングの要素も含まれます。
500点台の方は、まだ上手に先読みができずに、
設問と正解の選択肢を読んで、内容を理解しているうちに英文が流れ始めてしまった!
という状況に陥ることが多いのではないでしょうか。
先読みがうまくできないと解答のヒントが得られないだけでなく、気持ち的にもものすごく焦ってしまい、落ち着いて聞いたら聞き取れるような英文であっても聞き逃してしまうことがあります。
600点を突破するためには正しい先読み方法をトレーニングする必要があります。
600点を目指す皆さんにとっての目安は、次の流れを参考にしてみてください。
- Q32〜34に関する会話が流れている間
→リスニングに集中 - Q32の設問が流れ終わり、Q33の設問が流れ始まるまで
→Q32〜34を解き終わる - Q33と34の設問が流れる(次のQ35〜37に関する会話が流れ始めるまで約30秒間)
→Q35〜37の設問と選択肢を読む
先読みには練習が必要です。
最初は、先読みに時間がかかるので、設問と選択肢を1回ずつ読むだけで時間がなくなってしまうかもしれません。しかし、練習をすれば、設問→選択肢→設問と、繰り返し読む時間を作れるようになってきます。
「気持ちを切り替えられるか」がスコアアップのポイントの一つです。
500点から600点の壁を超える対処方法
では、600点を目指す皆さんがそれらの壁を越えるために取り組むべき学習法を紹介していきたいと思います。
1. 文法学習
TOEIC600点で求められる文法知識は、分詞構文や倒置など難易度の高い項目は含みません。
文型、品詞と各品詞の働き、動詞と時制、受動態、前置詞、接続詞など高校生までで習うようなものがほとんどです。
中学・高校で学んだ英文法の知識が曖昧な方はTOEICの参考書にこだわらず、「中学校3年間の英語が1冊でしっかりわかる本 」や、「高校の英文法が1冊でしっかりわかる本」 などを一通り学習してみることをおすすめします。
2. 単語学習
600点を取得するために求められる語彙数は、約5,000語と言われています。
TOEIC学習者の多くの方が「金のフレーズ」を使用していると思いますが、金のフレーズの最初の項目「600点レベル 助走の400語」をやっていて知らない単語が多すぎるかな(8割以上知らない単語だな)と感じたら、まずは金のフレーズの基礎固め編である「銀のフレーズ 」から取り組むことをおすすめします。
TOEIC L&R TEST 出る単特急 銀のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)
600点突破を目指す皆さんにとって、まずは英語学習の習慣化をすることが欠かせません。達成感の感じられない学習を続けていると、モチベーションはどんどん下がってしまいます。
そのため、それなりに知っている単語も掲載されており、
「この辺りの単語なら知っているな。でもこれは知らないから覚えよう。」
くらいの気持ちで取り組むことのできる単語帳をまずは一冊完璧に仕上げると良いでしょう。
目安としては、単語を見たときにパッと意味が頭に思い浮かぶくらいまで定着していることが理想です。
”3秒くらい考えたらやっと思い出した!”
くらいの定着度だとしばらくして忘れてしまう可能性が高いです。
一冊を完璧に仕上げることができれば想像以上の達成感が得られますし、リスニングを聞いても、リーディング問題を読んでも、確実に理解力がアップしているのでモチベーションが上がるはずです。
参考:TOEIC600点に必要な単語数は?頻出単語・おすすめ単語帳を満点講師が伝授
3. 先読み練習を繰り返す
私が600点を目指す生徒さんに必ず取り組んでいただくことの一つが、Part3と4の先読み練習です。
TOEIC初心者の方や、やり直し英語を始めたばかりの方は、英文を読むことへの苦手意識がものすごく高い方が多いのではないでしょうか。
近い将来にはPart6や7の長文もちゃんと読めるようになりたいですが、そのための練習としても、Part3と4の先読み練習をすることでまずは英文を読むことへ少しずつ慣れていきましょう。
あまりTOEICを解いたことがない方にとっては設問全てが違う英文のように思えるかもしれませんが、実は聞かれる内容はかなり限られています。
例えば、
「この男性の職業は?」
「この会話はどこで行われていますか?」
「女性は明日何をしますか?」
など、質問される内容のパターンはほぼ同じです。
もちろん例外もありますが、まずは600点取得のためには基本の質問内容を把握するためにも、最初にPart3の13セット、そしてPart4の10セットの設問を読む練習をし、そちらがスラスラ読めるようになったら選択肢も読む練習に取り組んでください。
これからどんな英文が流れてくるのかわからないまま聞くのと、自分がこれから聞くべき情報は何なのか把握した上で聞くのでは、全く難易度が変わります。Part3と4の先読みでいつも躓いてしまうなと思う方はぜひ先読み練習に取り組んでみましょう!
なお、Part3で2問、Part4で3問
“Why does the woman say, “ 〇〇〇〇”
(「女性が〜と言ったのはなぜですか?」)
のように、発言の意図を問う問題が出題されます。
それらの問題は難易度の高い問題になりますので、600点を目指す皆さんにとっては優先度の低い問題です。先読みをしていてこの問題に出会ったら、まずはそちら以外の2問を全力で正解しようという意気込みでリスニングすることをおすすめします。
どうしても壁を超えられそうに感じない時は…
「TOEIC学習を始めてみたけど思っていたより難しかった!」
「これでは600点の壁はなかなか越えられなさそう」
とやる気や自信を失い、どうしても勉強する気になれない…… そんな時もありますよね。
そんな時にはぜひこれからお伝えすることを実践してみてください。
10分でも毎日学習を続けよう
英語学習の習慣化。まずはこの壁を越えられるように頑張りましょう。
学生の方も社会人の方もすでに忙しい生活をしている中で、さらに目標に向かって英語を勉強しようと決意したことは素晴らしいこと!
「今日は仕事でミスをして英語なんてやる気が起きないな」
「明日のプレゼンテーションの資料、これから作らなきゃ。英語なんてやる時間がないかも」
そんな日もあるかもしれません。
しかし、ここで、今日だけは休もう…… とゼロの日を作ってしまうと、そのままダラダラと休んでしまい、知らない間に英語をやらない習慣ができあがってしまいます。
1日の目標時間を1時間としていても、その時間が取れないときは、10分でも良いのでぜひ英語に触れる時間を作ってみると良いでしょう。そして、そんな忙しい中でも英語学習に取り組むことのできたご自身を褒めてあげてください。
参考:英語・TOEICの勉強が続かない?習慣化し継続するコツや方法まとめ
学習仲間を見つけよう
一人で学習を続けていると孤独を感じたり、つまらないと感じてしまうこともあると思います。そんなときは学習仲間を見つけましょう。
もちろん英語学習に限らず、何らかの資格や試験も勉強をしている仲間を見つけるのも効果的ですが、特にTOEIC600点を目指している方であれば、同じようにTOEICを学習されている仲間を見つけられるとベストですね。
問題を解いてモヤモヤが残ったままにしておくことはモチベーションの低下に繋がります。わからない問題があったときにすぐに聞ける環境を作るという意味でも、TOEIC学習者のコミュニティがあればぜひ入ってみると良いでしょう。
まとめ
さて、今回はTOEIC600点達成に向けて学習の皆さんに向けて越えなければならない壁や、そのための具体的な学習法についてお伝えしました。
600点の壁を越えられない原因は語彙力や文法知識不足にあることが多いです。
いろいろなTOEICのテキストを見るとあれこれ手を出したくなってしまうかもしれませんが、まずは学習のテーマを絞って取り組んでみましょう。
語彙力や英文法の知識を伸ばすことに注力せず、TOEICの解法テクニックだけに頼ってスコアアップを狙っても必ず大きな壁にぶち当たります。
地道な努力はせずに「最短ルートで効率良く目標スコアを達成したい!」と思う方もいるかもしれませんが、
地道な努力をすることこそが最短ルートで目標スコアを取得するために大切なこと
なのです。
600点を取得すればこれからいろいろなキャリアの可能性が広がります。皆さんの目標達成を私も応援しています!
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