英語学習をしている方のなかには、
「将来英語を使う仕事に就きたい」
「英語が活かせる仕事に転職したい」
と考えている方も多いのではないでしょうか。ただ、英語を使う仕事といってもさまざまあり、どんな仕事かによって求められる英語のレベルは異なります。
また、英語力は「日常会話レベル」「ビジネスレベル」と表現されることが多いですので、「ビジネスレベルってどれくらい?」と疑問に思っている方もいるはずです。
そこで今回は、英語力が求められる仕事の種類や求められる英語レベルについて解説します。
漠然と「英語が使える仕事に就きたい」と考えているようでしたら、この記事を参考にして、英語が使える仕事のなかから自分に合った仕事を見つけてみましょう。
希望する仕事が決まっている人は、その仕事で求められる英語レベルを把握し、就職・転職のための明確な英語学習の目標を立てるためにお役立てください。
この記事を書いた人
阿武 夏織
TOEIC930点、英検1級取得。外資系企業、日系企業での海外営業勤務を経たのち渡米し、アトランタでNBAダンサーとして活動。ライターとしてさまざまな英語学習サイトで学習方法に関する記事をはじめ、海外文化・海外旅行についての記事などを執筆中。
この記事を監修した人
セレン
留学経験、海外経験ゼロから31歳で英語学習を独学で開始しTOEIC LR満点、TOEICスピーキング満点、英検1級を取得。日本最大手IT企業にてTOEIC研修&英語学習カウンセリングを6年間担当。英語事業コンサルティング、高校生英語指導も行う。「英語のあたらしい読みかた」著者。
増え続ける英語の需要
就職を控えている方や転職を考えている方なら「英語力があった方が有利だ」ということを耳にしたことはあるかもしれません。
国内で認知度が高いTOEICを運営している一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会が行った『英語活用実態調査2019』では、企業が考える「今後のビジネスパーソンにとって重要な知識やスキル」は、英語が82.6%で最多となっており、英語の需要の高さが浮き彫りになる結果となりました。
グローバルに事業を展開する企業や、多国籍の社員を抱えている企業が増えているため、英語力を持つ人材の需要は今後どんどん高くなっていくと予想されます。
また、ネイティブと同等に渡り合える高い英語力と専門性を身につけていれば、活躍の場は国内企業にとどまらず、海外就職の可能性も見込めます。
スコア別レベル分け一覧
英語力が必須な企業や職種の求人では、求める英語レベルを「日常会話レベル」「ビジネス英語レベル」としている企業も多く、「一体どれくらいのレベルなんだろう」と疑問に思っている方も多いはずです。
一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会は、TOEICスコアとコミュニケーションレベルの相関表である『PROFICIENCY SCALE』を公開しています。
レベル | スコア | 評価 |
---|---|---|
A | 860 | Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる。 |
B | 730 | どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている。 |
C | 470 | 日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる。 |
D | 220 | 通常会話で最低限のコミュニケーションができる。 |
E | – | コミュニケーションができるまでに至っていない。 |
「日常会話レベル」「ビジネス英語レベル」の英語力に明確な定義はありませんが、PROFICIENCY SCALEから考えると、
日常会話レベル:TOEIC470〜725点
ビジネスレベル:730点以上
と考えられます。
英語力を測る資格で認知度が高いものには英検もありますが、企業が採用候補者の英語力を見るときは、ビジネスに関する出題が7割程度を占めているTOEICが用いられることが多いです。国内での就職や転職で英語力をアピールするなら、TOEICをベースに考えておくといいでしょう。
TOEICは『L&R Test』と『S&W Test』がありますが、一般的にTOEICというと『L&R Test』を指しています。
ビジネスで求められる英語力
書類選考の時点で英語力を見られる際は、前述した通りTOEICのスコアが確認されることが多いです。
ただ、実際のビジネスで求められる英語力はTOEICのスコアだけでは測れないこともあります。
また、仕事でどのように英語を使うのかによって求められる英語力が違うので、一概にビジネスで求められる英語力は定義できません。目指す仕事で、どんなスキルが求められるのかを把握しておくことも大切です。
ビジネスシーンではメールでのやりとりや、資料の閲覧や作成でリーディング力とライティング力が必要ですし、オンラインミーティングやプレゼンに参加するなら、リスニング力とともにスピーキング力も求められます。
リスニング力とリーディング力はTOEIC対策である程度判断できますが、TOEIC対策だけではスピーキング力・ライティング力は身につきません。
希望する仕事でスピーキング力とライティング力が求められるなら、TOEIC対策に加えてアウトプット学習を行い、スコアに比例するスピーキング力・ライティング力も身につけておきましょう。
英語を使える仕事12選
ではここからは、英語を使える12の仕事を紹介していきます。
英語を使える仕事の種類は多岐に渡るため、すべてを紹介することはできませんが、漠然と「英語を使って仕事をしたい」と考えている方は、ここで紹介する仕事から自分に合う仕事がないか探してみましょう。
希望する仕事が決まっている方は、求められる英語力を判断する指標にしてみてください。
TOEIC600点以上の英語レベルが必要な仕事
1. キャビンアテンダント
平均年収:約500〜550万円
旅客機で機内の保安業務や、機内サービスを行う仕事です。機内食・飲み物などを提供することがメインのように思われがちですが、離着陸時の注意喚起や安全確認などを徹底し、乗客が安全に移動できるようサポートします。
国際線を担当する場合は、外国人クルーとの乗務になるため、正確にやりとりができるリスニング力・スピーキング力も必須です。
2. 航空管制官
平均年収:約500〜600万円
レーダーや無線機を使ってパイロットに指示を出し、飛行機が接触事故などをすることなく安全に飛行できるようにサポートする国家公務員です。離着陸許可を出す飛行場管制業務や、レーダーで飛行指示を出すターミナル・レーダー管制業務などを行います。
航空管制官はさまざまな国のパイロットと英語で交信を行いますが、日本人パイロットとの交信でも原則的に英語で会話をしなければなりません。
正確に情報を伝える英語力が求められ、採用試験では英語での面接や筆記試験も行われます。
3. バイリンガル保育士
平均年収:約300〜450万円
プリスクールやインターナショナルスクールで働く保育士を『バイリンガル保育士』と呼びます。
近年は子どもが小さい頃から日常的に英語教育をさせたいと考えている人が増えているため、バイリンガル保育士の需要も高まっています。
一般的な保育士と同様に子どものケアやクラスの運営、行事の企画などを行いながら、外国人講師をサポートするのが仕事です。インターナショナルスクールの場合は、保護者と英語でやりとりを行う必要もあります。
TOEIC700点以上の英語レベルが必要な仕事
4. バイヤー
平均年収:350〜480万円
バイヤーは商品や資材の買い付けを行うのが仕事です。企業が必要としている商品や資材を展示会や工場などで買い付けます。また、市場調査や情報収集、販売管理といった業務もバイヤーの仕事です。
企業によってはバイヤーが買い付け専門、市場調査等はマーチャンダイザーが行うケースもあります。
インポート製品を扱っている会社や海外から資材調達する場合は、海外に買い付けに行くこともあるため、英語力が求められます。またただ英語でやりとりができるかどうかだけでなく、交渉力などのビジネススキルも必要です。
5. ランドオペレーター
平均年収:約300〜400万円
パッケージツアーなどでホテルや交通手段、レストランなどの予約・手配を行うのがランドオペレーターの仕事です。海外ツアーを専門に扱う場合、予約・手配は必ず英語で行わなければなりません。
予約ミスがあると大きなトラブルになるため、正確にやりとりできる英語力が必要です。また、ツアー中に現地で起きたトラブルにも随時対応する必要があります。
基本的にはシステムやメールを使っての業務になりますが、緊急性があるトラブルには電話でやりとりを行える英語力も求められます。
6. 商社 各職
平均年収:700〜800万円
販売を希望する相手と、購入を希望する相手を仲介するのが商社の仕事です。
商社でもさまざまなものを扱う総合商社と、特定の分野のものを扱う専門商社があります。事務、営業、エンジニア、物流管理、カスタマーサポートなど、さまざまな職種がありますが、海外との取引を行っている会社の場合は、英語を使用する頻度も高くなるでしょう。
私は専門商社の海外営業をしていた経験がありますが、メールや電話では日常的に英語を使用しますし、海外出張での商談を行うこともありました。商品に関する知識と交渉力が求められる仕事です。
TOEIC800点以上の英語レベルが必要な仕事
7. 海外特派員
平均年収:500〜700万円
新聞社や放送局等の国際部に所属し、海外にある支局に赴任して、現地のニュースを日本国内に向けて発信するのが海外特派員の仕事です。場合によっては、現地スタッフの管理も任されることがあります。
英語で現地のニュースを理解できる英語力が必要です。また、大都市の場合は政治やスポーツ、科学などさまざまな部署があり、専門的な知識も必要となります。常に情報に対して敏感であること、正確に情報を読み取って伝える力も求められるでしょう。
8. バイリンガルセクレタリー
平均年収:400〜600万円
日本語と英語など、2か国語を使って秘書業務をするのがバイリンガルセクレタリーの仕事です。スケジュール管理、資料やメールの作成・翻訳、来客対応、会議での通訳といった業務を行います。
日本人の上司につく秘書の場合でも、上司が外国人とやりとりをする機会が多いのであれば、英語力が必須です。外国人の上司につく場合は、通常の秘書業務に加えて、上司の生活面のサポートも行うことがあります。
ビジネスマナーが正しく身についていることや、臨機応変に対応できる能力も求められるでしょう。
9. 外資系企業 各職
平均年収:750〜900万円
海外企業が日本で設立した日本法人や、海外企業と日系企業が共同出資して設立した企業が外資系企業です。外資系企業は、社員が多国籍であることがほとんどですから、公用語が英語ということも少なくありません。
基本的には日本語で業務を行う企業でも、メールやオンラインミーティング等は英語で行われます。職種によってはプレゼンや商談を行える英語力とビジネススキルも必要です。
TOEIC900点以上の英語レベルが必要な仕事
10. 翻訳家
平均年収:600〜700万円
日英翻訳の場合、日本語から英語、英語から日本語に翻訳するのが仕事です。
翻訳家といっても小説や歌詞などを翻訳する文芸翻訳、映画などを翻訳する映像翻訳、ビジネス書や契約書等を翻訳する実務翻訳があります。どの仕事でも英語を完璧に理解し、正しく翻訳する高い英語力が必要です。
また、英語力だけでなく、扱う分野や業界、サービスなどに対する深い知識も求められます。各国の文化や歴史的背景も反映させる必要があるため、異文化理解や教養も必須の仕事です。
11. スポーツ選手の通訳
平均年収:400〜600万円
外国人選手や海外で活躍する日本人選手について、練習や試合、インタービューなどで通訳を行うのがスポーツ選手の通訳の仕事です。
選手が言語の壁なくプレーできるように、スラング等も含めたカジュアルな英語も、フォーマルな英語も理解する必要があります。また、慣れない土地で生活する選手のための生活・メンタルサポートも行わなければいけません。
スポーツチームによっては、チームスタッフとしてそのほかの業務を行いながら、通訳の仕事を行うケースもあります。私が国内のスポーツチームのダンサーとして活動していた際、スポーツ選手の通訳がダンサーの担当や試合運営業務も兼任していました。さまざまな業務に対応できるスキルが求められるでしょう。
12. コンサルタント
平均年収:800〜900万円
さまざまな課題を抱える企業に対して、課題を分析し、解決に向けたサポートを行うのがコンサルタントの仕事です。担当する分野やプロジェクトの内容も理解する専門性や分析力、対応力も求められます。
国内企業を相手にする場合は英語が不要なケースもありますが、グローバル展開をしている企業や外資系企業を担当する場合は、高い英語力が必須です。外資系コンサルティングファームの場合、TOEIC900以下では足切りされるケースも少なくありません。
目指す職種に就くためにスコアアップする方法
気になる職種や希望する職種で求められるTOEICスコアの目安はおわかりいただけたでしょうか。
もし現時点のTOEICスコアが求められるスコアに満たない場合は、TOEIC対策を行ってスコアアップを目指しましょう。
スコアをアップさせるためには、
- まずどの程度のスコアアップが必要なのかを把握します。
- そして、現時点のレベルと目指すレベルを考慮した参考書や問題集を活用しましょう。
- いつまでに目標スコアを達成したいのかを決め、逆算した学習スケジュールを立ててみてください。
TOEICに慣れていない場合は、公式問題集を繰り返し解いて、TOEICの出題傾向に慣れておくことも大切です。公式問題集を解くときは、実際のテスト時間と同じ時間で解いてみましょう。
Gariben式では、TOEICのスコアアップの方法を詳しく紹介しています。現時点が何点なのか、いつまでに目標スコアを達成したいのかなど、スコア別に効果的な勉強方法を紹介していますので、ぜひ参考にしながらTOEIC対策をしてみてください。
まとめ
本記事では英語が使える仕事や求められるスコア・英語力について解説しました。
英語が使える仕事は今回紹介した以外にもたくさんありますが、どの仕事も英語力に加えて、専門的な知識やビジネススキルが求められます。
就職や転職を成功させるために、英語力に加えて、その仕事で求められる知識・スキルも磨いておきましょう。
また、選考ではTOEICスコアで英語力が測られることが多いですが、面接や入社後はより実践的な英語力が必要です。TOEIC対策をしながらアウトプット学習も行い、ビジネスで使える英語力を身につけましょう。
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