こんにちは、TOEIC満点講師の上田哲也です。
TOEICの対策をして何とか600点は取れるようになった方でも、700点を突破できずに苦労する方は多くいらっしゃいます。
TOEIC700点と言うと、TOEICの受験者全体の平均点である600点前後を上回るスコアですので、そのレベルに達するためには人一倍の努力が必要です。
ということで今回は、TOEIC600点台で停滞している方がぶつかる3つの壁を明らかにし、それらを克服しTOEIC700点の壁を突破する具体的な学習法をお伝えします。
現在TOEIC600点台で伸び悩みを感じていて、何としてでもTOEIC700点を達成したいという方に読んでいただけると嬉しいです。
この記事を書いた人
上田 哲也
バンクーバー留学、鉄鋼商社勤務を経て、現在は英語講師として企業研修などを担当。著書に『時短省力 私の英語勉強法』がある。TOEIC990点 / 英検1級 / IELTS8.0 / 国連英検特A級
この記事を監修した人
セレン
留学経験、海外経験ゼロから31歳で英語学習を独学で開始しTOEIC LR満点、TOEICスピーキング満点、英検1級を取得。日本最大手IT企業にてTOEIC研修&英語学習カウンセリングを6年間担当。英語事業コンサルティング、高校生英語指導も行う。「英語のあたらしい読みかた」著者。
そもそもTOEIC700点のレベルは高い?
まずはTOEIC700点がどれくらいのレベルなのかを見ていきましょう。
TOEIC700点を取るために必要な正答数は、全体のおよそ7割、つまり200問中140問程度の問題に正解する必要があります。
現在皆さんのスコアがTOEIC600点だとすると、およそ120問正解していることになるので、プラス20問の問題に正解しなければいけないということです。
TOEIC Program Data & Analysis 2021 によると、TOEICで695点以上を取る受験者の割合は35.7%となっています。したがって、TOEIC700点を目指すためにはおよそ上位3割に入る必要があると言えるでしょう。
また TOEICの Proficiency Scale によると、730点レベルでは「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている」とされています。
このことからも、少しずつ英語に慣れ始めたTOEIC600点台の受験者と比べて、TOEIC700点台に達する人たちは、ある程度クリアに英語が理解できるレベルになっていることが分かります。
なぜTOEIC700点の壁を超えることができないのか?よくある悩みや原因
ここからは、TOEIC600点台で伸び悩む人たちがTOEIC700点を突破できない原因について考えていきます。
結論から言うと、TOEIC700点の壁にぶつかってしまう大きな理由は「何となく」で英語を読んだり聞いたりしてしまっているからです。
- 壁 1. 単語の意味がはっきり分からない
- 壁 2. 構文を掴む力が弱い
- 壁 3. リスニングの音声に理解がついていかない
TOEIC700の壁 1. 単語の意味がはっきり分からない
いきなりですが、皆さんは以下の単語の意味を自信を持って答えられますか?
- circumstance
- modify
- wage
- circulation
- directory
これらはいずれもTOEICで700点レベルを取るためには、知っておきたい単語ばかりです。
もしこれらの単語の中に一つでも自信を持って回答できないものがあるとしたら、それがTOEIC700点に届かない原因である可能性があります。
ですので、まずはそれらの単語を「知っている気がする」から「確実に知っている」へと格上げしていきましょう。具体的には、これらの単語を見たらすぐに動作や状況が具体的にイメージできる、あるいは日本語訳が言えるといった状態を目指します。
TOEIC700の壁 2. 構文を掴む力が弱い
TOEIC700点に届かず苦戦している方の相談にのっていると、「何となく単語をつなぎ合わせて理解しているつもりになっている」人がとても多くいらっしゃいます。
例えば、このような文章を正確に理解することができますか?
Space on the board is available for up to four weeks at a time.
引用:TOEIC公式サイト
よくあるミスは「この掲示板のスペースは、1回限り4週間利用できます。」のように訳してしまうことです(もしこの訳を見て、何もおかしいと思わなかった方は要注意です!)。
この訳には “up to” のニュアンスが抜けており、また “at a time” が全く違う意味で捉えられています。この場合 “up to” は「最大で〜まで」、また “at a time” は「1回につき(連続で)」という意味です。
ですので、正しくは「この掲示板のスペースは、1回につき最長で4週間まで利用できます」という意味になります。
TOEIC700点を突破するためにも、単語を繋ぎあわせて勘で英文解釈をし、正解するべき問題で失点をしてしまうことは絶対に避けましょう。
TOEIC700の壁 3. リスニングの音声に理解がついていかない
みなさんは「リスニングで何となく聞き取れたつもりが、ちゃんと意味を取れていなかった」という経験はありませんか?
もしそんな経験があるとしたら、それは音を聞き分けるのに精一杯で、意味の理解まで頭のリソースが使えていないことが原因かもしれません。
TOEIC600点台で伸び悩む人は、英語の音をすぐにキャッチする力がついていないため、リスニングの理解があやふやになってしまいます。
一方で、TOEICで700点に到達する人は、リスニングで多少分からない単語や表現があっても、落ち着いてダイアローグやモノローグ全体の意味を把握することができるものです。
TOEIC600点から700点の壁を超える対処方法
ここからは、ここまで解説してきたTOEIC700の壁を突破するために必要な具体的な勉強方法を紹介していきます。
対処方法 1. 単語はイメージを明確にする
まずは、英単語の学習方法です。
先程の例で出したような単語の意味が曖昧になっている場合は、単語のイメージを明確にすることを徹底してください。そうすることで、より鮮明に英単語の意味を記憶できるからです。
例文でイメージをふくらませる
基本的には、例文を丁寧に読みながら情景や感情をイメージするようにしましょう。
例えば『金のフレーズ』には、このようなコロケーションが紹介されています。
motivate employees(社員をやる気にさせる)
参考: TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ(P128)
まずこのようなフレーズを読んだら、「従業員をやる気にしているシーン」を思い浮かべます。そうすることで、日本語訳だけで単語を覚える時よりも、ずっと鮮明に記憶に残るはずです。
Google 画像検索でイメージを掴む
また、Google で画像検索をするのも有効です。
特に、次のような単語に要注意。
- canopy = 天蓋(てんがい)
- civil engineer = 土木技師
「よく分からないけど『天蓋』という日本語だけ覚えている」、「土木技師がどんな仕事かわからない」など、日本語訳を覚えているだけで具体的なイメージが伴っていないと、TOEICのスコアには繋がりません。
理解があやふやな場合は必ずGoogle画像検索などを利用して、実際のイメージを掴むようにしましょう。
対処方法 2. 素早く英文のストラクチャーをつかむ
英文の構造を正確に掴むトレーニングとして有効なのが、TOEICの問題文を精読することです。
具体的には、英文の区切りにスラッシュを入れながら読む「スラッシュリーディング」がおすすめ。区切った英文を、勘に頼って曖昧に解釈することなく、塊ごとに正確に理解していきましょう。
スラッシュを入れる位置に厳密な決まりはありませんが、英文の切れ目になる修飾語句などを切り分けることを意識して実践してみてください(前置詞句、不定詞、分詞、関係詞などです)。
TOEIC公式サイトのサンプル問題にある次の英文を例にして見てみましょう。
Mooringtown Library is pleased to invite local community groups to use the free advertising space on its new notice board, located outside the front entrance of the library.
引用:TOEIC公式サイト
こちらにスラッシュを入れてみると、このようになります。
Mooringtown Library is pleased / to invite local community groups / to use the free advertising space / on its new notice board, / located outside the front entrance / of the library.
このように区切ることで、意味の塊が明確になり、正確に英文を理解することができるようになります。
対処方法 3. リスニングのスピード感を鍛える
最後にリスニングのトレーニングです。
TOEICのリスニングで、英語が右から左に流れていってしまう人は、音声を正確にキャッチし、その意味を素早く理解する力をつける必要があります。
具体的な勉強法としては、長文に慣れるためにも、Part3〜4をシャドーイングするのがおすすめです。
シャドーイングの手順は以下の通り。
スクリプトを読む際には、辞書などを使いながら、スラッシュで区切った塊を一つずつ正確に理解していきます。また、リピーティングでは、スクリプトを見ながら音声を聞いて、それを真似するトレーニングをおこないましょう。
文章の始めからピリオドまで、つっかえずに読み上げられるくらいまで練習を繰り返してください。そして最終的に、再生した音声に少し遅れてついていくような形でシャドーイングをしていきましょう。
このようなトレーニングを重ねることで、英語の音声を正確にキャッチする力が身につくのはもちろんのこと、理解できる表現や構文の幅を増やすことができます。
結果的にリスニング力が上がり、TOEICのスコアアップにも繋がっていくはずです。
参考:シャドーイングとは?TOEIC満点講師がやり方・コツを解説【英語初心者もOK】
どうしても壁を超えられそうにないと感じる時は…
TOEIC700点の壁をどうしてもクリアできないと感じる時には、まずは学習に最適な環境を作ることをおすすめします。
TOEICのスコアアップにおいて、継続は不可欠。しかし、ほとんどの人は、モチベーションがなくなったり、なかなか結果が見えなかったりして、途中で挫折してしまいます。
だからこそ、モチベーションがなくても、結果が見えなくても、淡々と学習をすることができる環境が大事です。
英語学習は、特に一緒に勉強する仲間がいることで、一気に継続しやすくなります。実際に私自身、英語を勉強し始めた時も講師になってからも、一緒に頑張る仲間がいたからこそ、今まで英語学習を継続してこれました。
人間は、仲間がいれば苦しい時でも頑張れるものです。一緒に英語を頑張る仲間に囲まれれば、「あの人も頑張っているから、自分も頑張ろう」という気持ちになれるのです。
今は一緒にTOEICを勉強する仲間を簡単に見つけられる時代。TwitterなどのSNSでも、TOEICに励む人達がたくさんいます。他にも、仲間と一緒に勉強できるチャンスは探せばたくさんあるはずです。
ぜひ今の自分に合ったやり方で、一緒にTOEIC学習を頑張れる仲間を見つけてみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回はTOEIC600点台から抜け出し、TOEIC700点の壁を突破するための勉強方法についてお話してきました。
単語はイメージ化して鮮明に記憶し、構文を掴む力はスラッシュリーディングで養っていきましょう。そして、リスニングの得点を上げるためにも、Part3やPart4のスクリプトを丁寧に繰り返しシャドーイングしてみてください。
今はなかなか突破口が見えないかもしれませんが、正しい方向でアプローチしていけば必ず結果はついてきます。
この記事でお伝えした内容を、今日から一つでも実践していただき、是非目標とするスコアを達成してください!
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